睡眠について⑩光と睡眠

こんにちは講師のたかえもんです。今回は睡眠の妨げになると言われているブルーライトと眠る環境についてお伝えしていきます。

ブルーライトはテレビやパソコン、タブレット、スマートフォンに使われている青色発光ダイオードの光のことを指します。この光は睡眠に良くないと言われていますが、これはどういうことなのでしょうか。そのことを理解するためには、睡眠のメカニズムについて知る必要があります。

夜はトーマス・エジソンが白熱電球を世界に広めるまで、真っ暗で何もできない時間でした。そのため、人間の身体は暗くなるとエネルギーの消費を抑えようとして睡眠を取っていました。

睡眠は脳内でメラトニンというホルモンが出され、体中に「夜が来たぞ!」という指令を送ることから始まります。その後に眠気を引き起こすアデノシンが分泌され、実際に睡眠状態になります。

夜が終わり日光が身体に浴びせられると、「昼間になったぞ、活動の時間だ!」と身体は覚醒状態に変化します。この時にメラトニンが減ります。メラトニンが減ることで身体は「今は夜じゃない」と覚醒するのです。

さて、エジソンが白熱電球を広めて以来、人間は明るい夜を手に入れました。しかし、人工の光によって明るくなった夜は人間本来の生活リズムを狂わせます。

人工の光を一切使わない生活では、20時から22時の間に眠気が自然とやってきます。ところが、夜に人工の光を浴びると、脳はだまされてまだ昼間だと思い込んでしまいます。具体的には2時間から3時間ほど体内時計が巻き戻されるのです。

たとえば、今が22時だとしてずっとライトをつけて本を読んでいるとします。すると体内時計は巻き戻されて今が19時から20時だと勘違いをしてしまうのです。

今が19時から20時だと勘違いした脳は、本来ならメラトニンを出すべき時間でもメラトニンを出しません。その結果、眠気がやってくるのが遅くなり入眠しにくくなります。

普段の生活で使う蛍光灯は、弱いものでも200ルクス程度の明るさがあります。これは太陽の明るさの1~2%ほどでしかありませんが、メラトニンの分泌を50%ほど抑える力があります。

夜寝るときに少しだけ灯りをつけるという人は多いと思います。その照明の明るさはろうそくの火と同じ8~10ルクスほどの明るさであると言われますが、それだけの明るさでもメラトニンの分泌時間を遅れてしまうことが確認されています。

さて、ようやくブルーライトの話に入ります。人間の光を感知する器官は青い光に最も強く反応するので、ブルーライトは睡眠に良くないと言われていました。

しかし、この話は少し違うのではないかという意見が最近になって出てきています。ブルーライトは確かに睡眠を妨げるが、そもそも光が睡眠の妨げになっているというものです。

つまり、寝る前に光を浴びるのがメラトニンを抑える原因であり、ブルーライトだけではなくイエローライトなどほかの色の光も睡眠には良くない可能性があるのです。

スマートフォンやタブレットなどの光が良くないのも、光っていることが1番の理由です。発光しているものを直接見てしまうからメラトニンが抑制されてしまうのです。

睡眠をしっかりとるためには、就寝時間の2時間前にはスマートフォンやタブレットを見ないのが理想です。ですが、そんなことはおそらく無理でしょう。現代的な生活を送ろうとするなら不可能だと思います。

そうなるとできることは、画面の明るさを抑えることです。就寝時間が近づいたらスマートフォンやタブレットの明るさを落とし、眼に入る光の量を調節するのです。ただ、気を付けないといけないことがあります。画面の明るさを落とし過ぎると逆に眼が疲れてしまうので、画面を暗くし過ぎないことです。

しっかりとした睡眠を取るためには、就寝の2時間前から強い光が眼に入らないように心がけ、なるべく部屋を暗くすることが大切です。光が睡眠の1番の妨げなのです。