睡眠について⑨恐怖のカフェイン・クラッシュ!
こんにちは講師のたかえもんです。今回は眠気を抑えてくれるカフェインの問題についてお話しします。
カフェインは眠気を抑えますが、どうしてカフェインは眠気を抑えるのでしょうか?
それを知るためには、眠気はどのように発生するかを理解する必要があります。
人間の脳は暗くなるとメラトニンというホルモンを出します。メラトニンは夜が来たことを脳に伝えるホルモンです。そして、メラトニンが出されれると脳はアデノシンという物質を出します。
アデノシンという物質こそが眠気を引き起こす物質です。この物質が増えるほど眠気は強くなります。
このアデノシンが、カフェインの眠気を抑える効果に強く関係しています。なぜカフェインを摂ると眠気がなくなるのかと言うと、アデノシンを受け取る脳の受容体(レセプター)をカフェインが物理的に塞いでしまうからです。
脳内で発生するアデノシンですが、それを受容体(レセプター)が受け取らない限りその効果を発揮することはありません。
カフェインもまたアデノシンと同じく小さい物質です。排水溝に物が詰まってしまって水があふれてしまうように、カフェインの粒がアデノシンの受容体(レセプター)を塞いでアデノシンが受容体(レセプター)を通過するのをブロックしてしまうのです。
いくら眠気を引き起こすアデノシンがあっても、それを受け取る受容体(レセプター)が塞がれてしまえば眠気は発生しません。
こうして眠気がなくなるので万々歳と言いたいところですが、問題が2つあります。
1つはカフェインのおかげで眠気は確かに抑えられますが、脳の機能は低下し続けている点です。
カフェインを摂ることで、眠気が払われてすっきりした気になります。確かに眠気によって引き起こされる集中力低下は解消されます。ですが、それ以外の脳の機能は回復しません。眠気がなくなるだけで、万全な状態よりも集中力は低下したままです。集中力などの脳の機能を回復するためには、結局のところ十分な睡眠を取る以外の方法はありません。
2つ目は、カフェインへの依存をおこすことです。
カフェインは、眠気を引き起こすアデノシンの受容体(レセプター)を塞ぐことで眠気を抑えます。しかし、カフェインがアデノシンの受容体(レセプター)を塞いでいる間もアデノシンは増え続けます。そして、カフェインはいつかは必ず分解されるます。カフェインが分解されたとき、それまでたまっていたアデノシンが受容体(レセプター)に一気に押し寄せ、強烈な眠気がやってきます。カフェインで誤魔化してきた眠気がすべて戻ってくるのです。これを「カフェイン・クラッシュ」と言います。
意志の力では立ち向かえないような眠気です。この眠気に対抗するには、さらにカフェインを摂取するしかありません。そうなるとカフェインへの依存一直線です。カフェインなしでは生活できない状態になってしまいます。カフェインの効果が切れたら意識を保ってられない身体になってしまうのです。
カフェインは有効な働きをすることが多いです。ですが、摂りすぎると吐き気や不安、頭痛、興奮、意識障害に悩まされるようになります。カフェインに依存するようになると、摂りすぎてこうした症状に悩まされやすくなります。
カフェインの入った飲み物は身の回りにたくさんあります。コーヒーにお茶類、そしてコーラです。以前にもお伝えしましたが、カフェインの覚醒効果の持続は10時間を超える場合があります。なので、カフェインを摂るのは午前中にとどめておくのが安全です。そうしておけば、摂りすぎも防ぐことができます。
眠気という勉強の大敵に対して、カフェインは強力な味方です。ですが、摂取の仕方を間違えるとかえって勉強の妨げになってしまうこともあります。そこをふまえてカフェインと付合っていかないといけません。