世界的な少子化の流れ④
こんにちは講師のたかえもんです。
「都市化」が進むにつれ、女性の地位が向上していったことを前回はお伝えしました。
今回は「女性の地位向上」が少子化の要因の1つであることをお伝えします。
「都市化」にともない、子供の存在が資産から負債に反転します。
農村部では安価な人手であった子供が、都市部では養育費がかかるだけの負担に変わるからです。
都市部では農村部と違い、様々な種類の仕事が存在します。
職業選択の自由度が農村部よりも増す半面、都市部では文字の読み書きを超えたハイレベルな教育が要求されるようになります。
都市部での教育水準の上昇は、当然ながら子供の教育費(養育費)の上昇につながります。
「自分の子供には辛い人生を歩ませたくない。豊かな人生を歩ませたい」と思うのが万国共通の親心ですが、この親心が子供の教育費(養育費)高騰を引き起こします。
子供に読み書きすら教えなくても良かった昔の農村部では、子供には家業や所属する共同体のルールを教えるだけで問題ありませんでした。それだけでも子供は十分生きていけたからです。
ところが、都市部では「良い暮らし」をするために高等な知識を身に付けないといけません。
子供1人にかける教育費(養育費)がぐんぐん上昇していきます。
子供の教育費(養育費)は家計には負担でしかありません。農村部における労働力の増加といったリターンにはつながらず、一方的な支出の増大になってしまうからです。
そうなると、子供の数をなるべく少なくしようという意識が生まれます。
子供が多すぎて、1人あたりにかけられる教育費(養育費)を減らしてしまうよりも、少ない子供に教育費(養育費)を集中した方が子供も幸せになれると考えるようになります。
こうした経済的要因から、都市部での出生率は低下します。
さらに、都市部での女性の地位向上は、女性に生き方を主体的に選べる選択の自由をもたらします。
血縁や地縁に縛られずに、好きに生きていけるようになるのです。
社会に出て自分の職業キャリアを追求しても良いですし、学問を探究して学者を目指しても良いです。また、従来のように家庭の中での役割を求めるのも認められます。
このように多様な生き方が女性にも認められるようになりましたが、話を出生率に限定すると、このことが出生率を下げる一因になります。
例えば、男女格差が世界で2番目に低いフィンランドですが、出生率はここ10年で低下の傾向にあります。(2021年の出生率は日本が1.30で、フィンランドは1.46)
フィンランドは国を挙げて育児をサポートしている国です。
ところが、2010年から出生率は低下していて、2019年には日本よりも出生率が低くなりました。
その原因は、子育てよりも自分の人生の方を優先することに価値を見いだす人が増えていることにあると言われています。