ロシアのウクライナ問題について②

こんにちは講師のたかえもんです。ロシアがウクライナに侵攻しました。これは信じられない暴挙です。ロシアはこの侵攻で目的を達成できたとしても、反ロシア感情が世界中に広まるだけで長期的にはマイナスだらけです。

大義名分の体裁すら整えない今回のウクライナ侵攻は、あまりにも身勝手です。プーチン大統領の頭が冷戦時代のまま止まっているとしか思えません。こんな不条理な争いで家を追われ、命を落とすウクライナの人々が可哀想でなりません。

ロシアの持つ国家観は、多くの国が共有する国家観と違うところがあります。

国家には主権というものが認められています。

主権というのは難しい概念ですが、「他の国から独立し、自分の国のことは自分で決められる権利」とぐらいに捉えればOKです。

現在の国際社会ではすべての国は主権を持ち、対等な存在だと認められています。(実際はそうも言えないところがありますが)建前ではどの国も平等な存在であるというのが国際的な常識です。

ところがロシアの主権についての捉え方は違います。主権とは大国だけが持ち、それ以外の国は大国によって主権の制限を受けると考えているのです。

少数の大国が親分として君臨し周りの国々を子分として従える、そんな勢力圏がいくつも存在するのが世界だというがロシアの国家観です。

ロシアの国家観では、主権を持つ国はとても少ないです。日本はアメリカによって軍事的な制限を受けている(とロシアは考えている)ので主権を持つ国家とは認められません。ドイツも同様です。

反対に中国やインド、アメリカは軍事的にも経済的にも独立しているので主権を持つ国家とロシアは認めています。これらの国に対してロシアは対等な立場を認めますが、そうではない国に対しては見下しに近い感情を持っています。

こうした国家観は100年ほど前までは一般的でしたが、過去の考えです。しかし、この古い国家観をいまだに持ち続けているのがロシアなのです。

ロシアは旧ソ連の構成国を勢力圏と(一方的に)捉えています。旧ソ連の構成国とはウクライナやベラルーシなどです。

前時代的で、ヤクザめいた縄張り意識です。

この縄張り意識はロシアという国にとっては自国防衛という名分がありますが、他の国にとってはまことに自分勝手な理屈でしかありません。結局のところ、他国から攻められるときの盾を欲しがっているだけなのですから。

それでもメリットがあるならロシアに従うことも選択肢の1つに入ります。

たとえばアメリカは自国の経済発展のために多くの国に影響力を及ぼしています。これらには当然負の側面がありますが、アメリカにつくことで経済の発展や安定、自由化といった恩恵も見込めます。ムチを与えるけど、あめも与えるのがアメリカです。

ところがロシアについても経済発展は見込めません。経済はロシア本国が冷え込んでいますし、言論の自由も制限されます。ロシアについて良いことは、ロシアからの軍事的な侵攻を受けないですむことぐらいです。アメを与えずにムチばかり与えるのがロシアです。

プラスになる恩恵を何も与えられないから、脅しつけることばかりするのです。ムチを与えないことこそがアメだとでも言いたげな態度です。

ソ連はアメリカと世界を二分した超大国でした。しかしその超大国という栄光は、多くの犠牲と無理によって成り立っていました。そのツケに苦しんでいるのが現在のロシア連邦です。

ウクライナの持つ反ロシア感情もソ連時代に原因があります。次回はソ連がウクライナにした仕打ちについてお伝えします。