読解の根本問題「そもそも読んでいない」②音読

 読解力を身に付けるためには、根本的な問題を抱えているかどうかを探る必要があります。その根本的な問題とは、「そもそも文章を読んでいない」という問題です。

 文章をしっかり読んでいるのか、それともただ文字の配列を見ているだけなのか、判断するのは大変です。なにせスポーツのフォームのように、目で見えるものではないからです。

 ですが、1つ有効な方法があります。それは音読です。

 初めて目にする文章を音読してもらうことで、その状態がよく分かるのです。

 初見の文章を音読するので、ゆっくりとした音読になったり、多少言い間違うことや読み直しをすることはあるかもしれません。ですが、これらはまず問題ありません。

 問題なのは、「①漢字の読み間違いの頻発」と「②言葉の区切りの間違い」の2点です。

 1点目の「①漢字の読み間違いの頻発」は、漢字が読めなくて音読が止まってしまう場合も含みます。

 漢字を読み間違えたりそもそも読めなかったりする場合、その漢字の意味を摑むことができていません。そうすると、何が書かれているのかさっぱり分からない文章に取り組むことになってしまいます。

 このケースは、漢字の練習が不足していることが原因です。漢字の練習をしっかりすることで解消する可能性は大いにあります。

 2点目の「②言葉の区切りの間違い」は、たとえば「この先生きのこるには?」という文を「このせんせい きのこるには?」と音読してしまう間違いです。

 正しくは「このさき いきのこるには?」と読むべきところです。ですがこれを「このせんせい きのこるには?」と読んでしまうと、意味がまったく分からなくなりますね。

 このように言葉の区切りを間違って音読してしまっても、変だなと感じて自分で訂正出来れば大丈夫です。しかし、「この先生きのこるには?」という文を「このせんせい きのこるには?」と読んでしまっても、変だなと感じない場合は危険信号が灯っています。 

 普段から言葉を正しく区切ることができないまま、文章に目を通している可能性が高いからです。

 音読をしてもらうことで、こうした問題を発見することができます。

 では、もしこうした問題を抱えていることが判明したなら、どうすれば良いのか。次回はそのことについてお話します。