読解の根本問題「そもそも読んでいない」①前置き

 こんにちは、講師のたかえもんです。今回は読解が苦手な生徒の多くに共通する、根本的な問題についてお話しします。

 その根本的な問題とは、「文章の意味が分からないのではなく、そもそも文章を読んでいない」という問題です。

 読解が苦手という場合、書かれている文章の意味が分からないと考えがちです。しかし、本当はもっと前の段階でつまずいているという場合が多いのです。

 それが、「そもそも文章を読んでいない」という段階です。

 これは生徒に悪気があって、わざと読んでいないということではありません。生徒本人としては大真面目に文章に向き合っているつもりなのです。しかし、実態としては字面を眺めているだけで、

 それを自覚できていないのです。

 なぜそんな状態に陥るかというと、読み飛ばすことが有効であるという体験をしてしまっているからです。

 学校で出される問題の大半は、設問文を読み飛ばしても正解できるものばかりです。そのため、設問を読み飛ばすのが最適化な行為だと学習してしまうのです。

 いったん学習してしまうと、それが基本姿勢として定着してしまいます。定着してしまうと、それが癖になってしまい、意識できなくなります。

 癖になっていると大変です。どのように文章を読んでいるのか―――しっかり読んでいるのか、読み飛ばしていて読んでいないのかは―――周りからは見えませんし、本人も自覚できるものではないので、何が問題なのか究明しにくいからです。

 問題の根本が把握できないと、見当はずれな対策をすることになりかねません。

 次回は、文章をそもそも読めているのか、そうではないのかを見分ける方法についてお伝えします。