「少子化はどうしたら解決できますか?」①

こんにちは講師のたかえもんです。先日社会の授業をしていると「少子化ってどうすれば解決するんですか?」というハードな質問が生徒から飛んできました。本当にハードな質問です。

実は、少子化に関する話を以前このブログに書きました。ですが、見返してみると1年半も前のことでした。もうそんなに経つのですね…。そこで今回は「少子化ってどうすれば解決するんですか?」という質問について、以前にもブログで書いた話をまじえて簡単にお伝えしようと思います。

少子化について偉そうな感じに高説をぶちますが、基本的には文藝春秋社の『2050年 世界人口大減少』という本を元にした内容をお伝えします。興味がある人はぜひ『2050年 世界人口大減少』を読んでみてください。

さて、少子化の解決方法ですが、端的に結論を言いますとありません。2024年現在、少子化について倫理的に許される解決方法は見つかっていません。

少子化は日本だけでなく、世界中で進行している減少です。例えば、世界で一番人口の多い国はインド(144千万人)ですが、インドの合計特殊出生率は2.0です。

合計特殊出生率とは、15歳から49歳までの女性1人が生涯に生む子供の平均を表します。合計特殊出生率は2.07以上ないとその国の人口は減る一方となります。というのも、病気や事故などで若い年齢で亡くなる人がいるため、合計特殊出生率が2.0ぴったりでは人口は微減してしまうことになるからです。なので、人口を維持するには、合計特殊出生率は2.0ではなく2.07以上必要となります。インドの合計特殊出生率は2.0なので、このままではインドの人口は減り続けることになります。

また、世界人口2位の中国(142千万人)の合計特殊出生率は1.08です。インドよりも低く、日本よりも低い(日本の合計特殊出生率は1.)です。これは一人っ子政策の影響が大きいと言われています。

世界人口3位のアメリカ(34千万人)はどうでしょうか?アメリカも合計特殊出生率は1.7と、やはり人口を維持するには足りない数字です。

その他の先進国も、フランス1.8、、ドイツ1.5、イギリス1.6、ロシア1.4、と軒並低いです。

逆に合計特殊出生率が高いのは、ニジェール6.7  (世界1)、エチオピア4.1、ケニア3.3、エジプト2.9、南アフリカ2.3といわゆる発展途上国です。

さて、どうして少子化は起こるのでしょうか?また、どうして先進国の合計特殊出生率は低く、発展途上国の合計特殊出生率は高いのでしょうか?

2050年 世界人口大減少』によると、その答えは「①都市化」と「②(都市化に伴う)女性の地位向上」にあるようです。

人類が文明を築いてから長い間、農村部の人口の方が都市部よりも多いという状況が続きました。例えば、1950年代の世界人口に占める農村部人口の割合は約70%でした。これは1950年代の話です。これよりも昔はもっと農村部人口の割合は大きかったと推定されます。江戸時代の日本では、人口の85%以上が農村部に住んでいたと言われています。

それが現在では農村部人口は50%ほどに低下し、逆に都市部人口がかなりのペースで増加しています。

農村部では、子供は資産でした。「資産」というと非常に冷たい印象を与える表現ですが、要は「子供は親にとって経済的にプラスな存在だった」というわけです。

どういうことかと言うと、子供は安くこき使える労働力だったということです。

農業には人手が必要です。特に、機械化が進んでいない時代では、現代よりもはるかに多くの人手が必要でした。ですが、人を雇うにはお金が必要です。人を雇いすぎると利益が少なくなります。できるならばなるべく多くの利益を得たい、こう思うのはどの仕事でも同じです。

そこで役に立つのが子供の存在です。自分の子供なら、人を雇うよりも格段に低いコストで済みます。そのため、農村部では子供は多ければ多いほど利益を上げられるという構造ができます。これが「子供は親にとって経済的にプラスな存在だった」という言葉の意味です。しかし、都市部ではこの構造が逆転します。次回は「都市部では子供は負債である」というお話をします。