効果的ではない学習方法⑤

こんにちは講師のたかえもんです。今回は、効果的ではない勉強方法の「好みの学習スタイルに合わせる」というものをお伝えします。

人には好みの違いというものがあります。食べ物や飲み物などに好みの違いがあるように、何かしらの情報を得たり学んだりする時にも人それぞれの好みの違いがあります。

たとえば、図や映像などの視覚情報から学ぶのが好きな人は、視覚型(visualizer)というタイプに分類されます。またそれとは逆に、文字を読んで情報を入手するのが好きな人は、言語型(verbalizer)というタイプに分類されます。

好みの学習スタイルで勉強する方が、そうではない学習スタイルで勉強するよりも効果的な気がします。ですが果たして本当にそうなのか、それを調べた実験があります。

解剖学を学ぶ426人の大学生を対象に、視覚型や言語型といった学習タイプを判定する質問書に答えてもらい、学習タイプを判定します。

そして普段どのように勉強しているかを調べ、「自分の学習スタイルに合った勉強法を行なった大学生」と「自分の学習スタイルとは違う勉強法を行った大学生」の成績を調べます。

調べてみた結果、「自分の学習スタイルに合った勉強法を行なった大学生」の成績は、「自分の学習スタイルとは違う勉強法を行った大学生」とくらべてたいして高くなかったことがわかりました。

この実験結果から、「自分の好む学習スタイルに合った勉強法は、特別高い効果が認められるものではない」という結論が導き出されます。

もちろん自分の好きな学習スタイルで勉強することは、そうでない学習スタイルで勉強するよりもモチベーションを維持しやすいです。モチベーションの維持という観点からは、自分の好きな学習スタイルで勉強することの効果は否定されるべきではありません。

しかし、「自分が好んでいる勉強法以外に効果的な勉強法はない」と視野が狭くなってしまうとしたら、問題があります。

自分が好んでいる勉強法以外にも効果的な勉強法は存在するかもしれないですし、そちらの方がより短い時間で成果が得られるかもしれません。そうした勉強法を試さずにその選択肢を最初から排除するのはもったいないです。

事実、効果の高い勉強法は必ずしも自分でその効果を実感できないものだったりします。試しに実践してみた勉強法が「あまり覚えられないなあ」と感じられても、長期的にみればより効果の高い者だったということもあります。

自分が好んでいる勉強法にばかりこだわると、より効果的な勉強法を取りこぼしてしまう可能性があります。

次回からは今回までとは逆に、「効果的な勉強法」についてお伝えしていきます。