デ・キリコ展に行ってきました
美術通というわけではないのですが、ダリやピカソやマグリットのような不思議で面白い絵画はミーハー的に好きなので、以前は時々美術館に行くこともありました。で、今回久々に、上野の東京都美術で開催中のデ・キリコ展に一人で行ってきました。
そもそもなぜ私が多少なりとも絵画に興味を持つようになったかというと…。
その昔私がまだ20台だった頃、神奈川県にはアチーブメント・テスト(通称ア・テスト)という、中2終盤に行う入試みたいなテストがありました。ア・テストはなんと9教科全部のペーパーテストだったので、某学習塾に勤務していた塾講師の私も、ア・テスト対策のために実技教科(副教科)をどれか一つ教えなければならなかったのです。で、美術の担当になりました。
「おいおい、その画力で美術担当って、詐欺じゃないの?」と、私の絵を見たことのある人は思うかもしれませんが、美術担当とは言っても、絵の描き方を教えたりするのではなく、絵や彫刻の技法の名前を教えたり、絵や彫刻を見て作者名を答える問題の解き方を教えるという程度のものでした(なので私を責めないでください笑)。
でも、この経験のお陰で少しばかり絵画に興味を持つようになり、ちょっとした美術関係の雑誌(画家別の薄っぺらいやつ)を買ったりして、絵画鑑賞を楽しむようになりました。
たまにですが、職場の後輩や大学時代の友人を誘って美術館に足を運んだりするようにもなりました。
子どもが生まれてからは、小さい子を美術館に連れて行くのは危険すぎるので、しばらくの間遠のいていました。子どもが大きくなって、やっと自由が増え、美術館にも行けるようになったわけです。
ただ正直言って、デ・キリコはそこまで好きな画家ではなく、誰かちょっとでも興味のある画家の展覧会がないかネットで探していたら、少しだけ知っている名前が出てきた、という感じです。
山田五郎さんという昔からテレビで見ていた不思議な存在の方が美術作品を面白おかしく解説してくれる「大人の教養講座」というYou Tubeチャンネルでもこの「デ・キリコ展」を紹介してたので、バッチリ視聴してから行きました(とは言え、そんなに覚えてませんが笑)。
私が何となく知っていたデ・キリコの絵は、顔のないマネキンのような人間とか、遠近法を無視した、やたらと長く伸びた影ばかりという、なんか寒々しいというか無機質な印象でした。しかし、90才くらいまで長生きした彼の作風は、時期によって変わっていきました。ルネサンス時代を回顧してやたら古風なタッチの絵も描いていることがわかりました。このあたりはピカソにも似ています。
いわゆるシュールレアリストたちにも影響を与えた、超現実的なその作風は「形而上絵画」と言って、見る人が自由に解釈していい、ということを画家自身が言っているようです。この考え方は、とても気に入りました。だって、絵を楽しむのにウンチクはほどほどにしてもらいたい、と日頃から思っていたので。ピカソの絵だって、色んな解釈はあるだろうけど、まずはあの不思議な感じを面白がりたい、というのが私の立場です。
同じようなシュールな絵画でも、ダリとマグリットの方が正直言って好きですが、今回の展示のお陰でデ・キリコにも興味が出てきました。まだまだ開催中なので、ご興味のある方はぜひ!