改訂された英語の授業について

こんにちは講師のたかえもんです。

2020年に学習指導要領が変わり2年が経とうとしています。学習指導要領が変わってどの教科も内容に変化がありましたが、特に大きく変化したのが英語です。

中学校で習う単語の量が1,5倍から2倍ほど増え、高校で教わっていた文法のいくつかを中学生でも習うようになりました。かなりの負担増ですが、大きく問題となるのは授業の変化です。

現在、英語は4技能の習得が大事ということになっています。4技能とは、話すこと(スピーキング)・聴くこと(リスニング)・書くこと(ライティング)・読むこと(リーディング)を指します。

これまでの英語の学習では、漠然とリスニングとそれ以外という分け方がされてきました。ですが、その分け方は英語を身につける上で雑だということで、このようにきっちりした区分けが導入されることになりました。

これは学習する側としても学習する内容がはっきりするので、分野を絞って集中できるという利点があります。ところが、中学校の授業に取り入れられたことで大きな問題が発生することになりました。

それは、学校の授業を受けているだけでは定期テストに対応できないことです。

学習指導要領の変更により、学校の授業では4技能の習得を目指す授業に変わりました。しかしながら、英語の授業時間は大して増えていません。そのため、これまでとほぼ変わらない授業時間の中で、4技能が身につくような「薄い」授業をしないといけない状況になっています。

限られた時間数の中で4技能のすべてに触れた授業をしないといけないので、一つ一つの内容に時間をかけられません。その結果、2極化が進行しています。

4技能の1つ1つに時間をかけられないため、丁寧な解説や説明ができません。そうした「薄い」授業は、理解力の高い生徒や塾などで前もって準備している生徒には良いのですが、そうでない生徒にとっては脱落しないだけで精一杯なものになります。こうして2極化が進み、中間層が消滅しました。公教育は全体の底上げを目的としていますが、「できる」生徒以外を切り捨てることになっているのです。

4技能を教えないといけなくなって特にしわ寄せが来ているのが文法です。文法の解説時間を削って、どうにか4技能のバランスを取っている状況になっています。ところが、これが大問題です。

というのも、定期テストはこれまでと変わらず、文法の理解を確認する問題が中心となっているからです。

学校の成績は授業内の取り組みも関わってきますが、1番大きいのは定期テストの結果です。その1番大切な定期テストで核となる文法の授業時間が削られているのです。理解力が格別に高い生徒や塾で予習している生徒でないければ、定期テストに対応できません。

4技能の習得という理想は高邁で素晴らしいのですが、そのお題目にシステムがついて行けていないのが現状です。二兎を追うどころか、四兎を追って一兎をも得ずという状況になりつつあります。

とは言え、嘆くことは誰にでもできますしそれだけでは時間の無駄です。学校の授業を受けているだけでは厳しいという現実をふまえてどうしていくか。そのことについて次回お伝えします。