氷の体積が水の体積より大きくなる理由

こんにちは講師のたかえもんです。受験が近づいてきました。先日、受験生からから「どうして水は氷になると体積が増えるのですか?」という質問をされました。大変良い質問であり、そうした疑問を抱くのは素晴らしいです。

しかし、この質問は厄介です。というのも、正確な理解には高校生の知識が必要になるからです。今回はなるべく高校生の知識を使わずに、氷が水よりも体積が大きくなる理由を説明します。

水は100℃(厳密には99.974℃)よりも高い温度になると水蒸気になり、0℃よりも低い温度になると氷に変化します。こうした変化のことを状態変化と言います。

物質は気体→液体→固体の順番に体積が小さくなっていきます。ところが、1番身近な存在である水は、液体状態(水)よりも固体状態(氷)の方が体積が大きくなるという不思議な性質をもっています。ありふれたものなのに例外的な動きをする困ったやつなのです。

どうしてこんな困った性質をしているかというと、物質は小さな粒からできていることから話を始めないといけません。

物質は原子や分子とった小さな粒からできていて、気体状態では粒と粒の間隔がとても広く、液体では間隔が狭くなります。そして、固体では粒と粒の間隔が1番が狭くなります。この粒と粒の間隔の広さや狭さが体積の大きさや小ささを表しています。

水は、水分子という粒がたくさんあつまってできています。

気体の状態である水蒸気の時は、水分子と水分子の間隔がとても広くなっています。水の状態になると水分子の間隔は水蒸気の時よりも狭くなります。氷の状態ではさらに間隔が狭くなる・・・はずなのですが、ところが逆に水の状態よりも広くなってしまうのです。これが、氷が水よりも体積が増えてしまう理由です。

なぜこんな変なことが起きるかというと、1番小さな粒である原子にはプラスの電気とマイナスの電気があり、磁石のようにマイナスの電気とプラスの電気は引き合う性質を持っていることに原因があります。

水は温度が下がり、0℃になると氷に変化していきます。温度が下がると粒と粒の間隔が狭くなっていきます。ところが、ある距離まで水の粒と粒が近づくと、粒同士のマイナスの電気とプラスの電気が引き合い、六角形の形に並んでしまうのです。

水の粒が六角形の形に並ぶとき、氷の粒と粒の間隔は水の粒と粒の間隔より広くなってしまいます。だから氷は水よりも体積が大きくなるのです。

ちなみに、水に比べ氷は水の1,1倍体積が増え、水蒸気は水の1700倍体積が増えます。

以上が、氷の方が水よりも体積が増えてしまう理由です。氷は、水よりも水分子の間隔が広くなってしまうことがその理由です。

高校生になると化学の授業でその話をもっと詳しくします。興味があるひとは高校の化学の先生に聞いてみるとより詳しい説明をしてくれますよ。