睡眠について⑧睡眠と感情のコントロール
こんにちは講師のたかえもんです。今回は睡眠と感情のコントロールについてお話しします。
睡眠不足の状態だとイライラしやすいです。
この睡眠不足とイラつきの関係について、ある実験がされました。
実験を受けるグループを2つに分けます。1つ目のグループは一晩ぐっすり眠ります。2つ目のグループは一晩中起き続けます。そして、翌日にMRIで脳をスキャンしながら100枚の写真を見せます。100枚の写真はカゴや流木といった感情に変化を与えない写真から、燃える家や襲いかかってくるヘビといったネガティブな感情をあたえる写真などさまざまな種類の写真です。ネガティブな感情を与える写真を見せられたときに、それぞれのグループの脳がどんな反応をするのか調べるのがこの実験の目的です。
脳には扁桃体(へんとうたい)という部位があります。扁桃体(へんとうたい)は恐怖や緊張に対して反応する部位で、この部位が敏感であるほど怒りや恐怖を感じやすくなります。またもし扁桃体(へんとうたい)が事故などで傷ついてしまったら、怒りや恐怖を何も感じなくなってしまいます。
この実験の結果、一晩ぐっすり眠ったグループは脳の扁桃体(へんとうたい)の活動が抑えられるていて、ネガティブな感情を与える写真を見ても感情を乱したりしませんでした。しかし、一晩中起きていたグループは扁桃体(へんとうたい)の活動が60%も増えました。そのため、ネガティブな感情を与える写真を見たときに、感情を揺さぶられる人が多く出ました。
つまり、睡眠をしっかりとらないと扁桃体(へんとうたい)が活発になるので情緒が安定しないことが分かったのです。
この実験は脳の成熟した大人を対象に行ったものです。脳の成熟した大人ですら、睡眠不足は情緒を不安定にします。脳がまだ成熟していない子どもの場合、睡眠不足が情緒に与える影響は大人以上だと予想されます。
事実、睡眠不足の子どもは攻撃性を増していじめを起こしやすく、またその反対の自殺願望を持ちやすくなるようです。睡眠不足だと扁桃体(へんとうたい)の活動が活発になるため、怒りや恐怖の感情が通常よりも増幅されるためです。
睡眠不足だと扁桃体(へんとうたい)が活発になり、怒りや恐怖への反応が過敏になります。その結果、感情のコントロールがききにくくなります。特に脳が完成していない子どもにはその悪影響は大きいです。イライラや不安がまとわりついて離れないのは、睡眠不足が原因なのかもしれません。