睡眠について⑦睡眠と脳の発達について

こんにちは講師のたかえもんです。今回は睡眠と脳の発達についてお話しします。

脳は身体と同じように少しずつ成長します。しかし、その成熟は身体の方が早く、それに遅れて脳の成熟という順番になります。

生まれたばかりの赤ちゃんの脳内では、猛烈な勢いで神経が増えています。

脳内の神経というのは道路のようなもので、様々な情報や指令を伝達するものです。こうして増えた神経はネットワークを形成し、莫大な情報を処理できるようにしてくれます。

ところが、小児期後期から思春期にかけて脳内神経の増加は減っていきます。そして、今度は逆に作りすぎた脳内神経を整理して減らします。

せっかく作ったものを無くしてしまうなんてもったいない話ですが、これは脳という器官がエネルギー消費について敏感であることに関係しています。

脳は体の2%ほどの重さしかありませんが、体内で使われるエネルギーの約25%を消費します。これほどエネルギーを使う器官は他にありません。

大量のエネルギーを消費する器官なので、脳はエネルギーの無駄遣いにとても厳しいです。いったん作られた神経でも、それがあまり使われていないと判断されるとばっさり切り捨てます。無駄な神経は無駄なエネルギーを消費する存在だからです。

このようにして不必要な脳内神経を整理しきったとき、脳は大人の脳として完成します。

脳の成熟は後頭部から始まり、おでこの後ろにある前頭葉で終了します。前頭葉は、合理的思考や社交性・忍耐力などいわゆる理性をつかさどる部位です。思春期の子どもは情緒不安定であるとよく言われますが、前頭葉の成熟が脳の成熟の中で最も遅いことがその理由の1つと考えられます。

こうした脳の成熟に欠かせないのが睡眠です。

ネズミやネコを使った動物実験があります。

ネズミやネコも人間と同じように、徐々に脳が成熟していく生き物です。これらの動物の脳が成熟する時期に、十分な睡眠をとれないよう邪魔をしました。すると、脳の成熟が止まり発達の障害がいくつも見られました。

同じような実験を人間に対して行うことはできません。人体実験になってしまうからです。ですが、この動物実験から人間の脳も同じでという予測は立てられます。人間も脳の成長が完了していない時期に十分な睡眠を取れていないと、脳が成熟しきれない可能性があるのです。

勉強だけでなく脳の成長にも睡眠は大きく関わっているので、睡眠をしっかりとることはとても大切なのです。