睡眠について⑥ 睡眠と運動
こんにちは講師のたかえもんです。今回は睡眠と運動についてお話しします。
意外なことですが、睡眠時間が長いほど身体能力は上がるようです。
2011年にアメリカのスタンフォード大学で、バスケットボール部の部員を対象に睡眠と運動能力の関係について実験が行われました。(ちなみにスタンフォード大学は世界大学ランキングで4位の大学です。このランキングで最も順位の高かった日本の大学は東京大学で、35位でした。)
実験といってもそんなたいそうなものでは無く、バスケットボール部の部員に毎日10時間以上の睡眠を1ヶ月半とり続けてもらうというものです。
毎日10時間以上の睡眠というのはなかなか大変です。ですがこの実験の結果、競技をするのに重要な能力の向上が見られました。
たとえばダッシュの記録が平均5%向上、フリースローやスリーポイントシュートの成功率が約13%、練習中や試合へのモチベーションが10%以上上がりました。
世界の超一流アスリートにも長時間睡眠をとる選手がいます。たとえば、100メートル走世界記録のウサイン・ボルトやゴルフの賞金獲得歴代№1のタイガー・ウッズは毎日10時間の睡眠をとっていましたし、テニスの世界ランキング1位最長期間保持者のロジャー・フェデラーはなんと12時間の睡眠をとっていました。
このような長時間の睡眠が身体能力を向上させる理由は2つ考えられています。
1つは、睡眠中に疲労回復と筋肉の修復が進むことです。
激しい運動をするとどうしても体内に炎症が起きたり、筋肉にダメージがいきます。睡眠中はそれを治してくれるため、体のパフォーマンスを良い状態に保ち続けてくれるのです。
2つ目の理由は、睡眠中に体の動かし方を自動化するように脳が働くことです。
バスケであろうとダンスであろうと、初めておこなう運動はぎこちないです。常にどのように体を動かすのかを意識して動かしています。それがだんだんと慣れてくると、意識しなくてもその動きができるようになります。
睡眠中、運動に関する記憶は意識の下で活動している脳の回路に移動します。この移動がうまくいくと、運動の自動化が達成されます。これが「体が覚えている」という状態です。
この状態になると、安定したパフォーマンスを発揮できるようになります。
勉強に限らず、体を動かすことにも十分な睡眠は重要です。また、十分な睡眠は故障の防止にもなるので、良好なパフォーマンスのために睡眠は必要です。