睡眠について⑤記憶と睡眠
こんにちは講師のたかえもんです。今回は記憶と睡眠についてお話しします。
新しい情報を見聞きした時、その情報は脳の海馬(かいば)に送られます。海馬に送り込まれた情報は短期記憶としてそこに保管されます。短期記憶とは数秒から数分で忘れてしまう記憶のことです。たとえば、初めて見た電話番号のように少しの間なら覚えられるけど、すぐに忘れてしまう記憶が短期記憶です。
こうした短期記憶のいくつかは大脳皮質(だいのうひしつ)と呼ばれる脳の器官に送られます。大脳皮質(だいのうひしつ)に送られた短期記憶は、そこで長い間保存され長期記憶に変化します。
大脳皮質(だいのうひしつ)に送られて長期記憶に変化した記憶は、数週間から数年の間忘れずに覚えていられます。
勘のいい人なら気付いたかもしれませんが、勉強ができるようになるためには習った内容を長期記憶に変化させることが大切です。どんなに頑張って勉強しても、すぐに忘れてしまうのでは結果につながりません。覚えた内容を覚え続けるていることが大切なのです。
海馬で保管された短期記憶が大脳皮質(だいのうひしつ)に送られ、長期記憶に変化するために必要なのが睡眠です。
深い睡眠(ノンレム睡眠)中に記憶が海馬から大脳皮質へと移っていることが、MRIを使った検査で判明しています。
睡眠と記憶についてこんな実験があります。
実験を受ける人に同じ画像を繰り返し見せ、その後どれくらい画像を覚えているかテストをします。この時、テストをするグループを4つに分けました。
①画像を覚えた日に十分な睡眠をとり、次の日にテストを受けるグループ
②画像を覚えた日から2日間十分な睡眠をとり、それからテストを受けるグループ
③画像を覚えた日から3日間十分な睡眠をとり、それからテストを受けるグループ
④画像を覚えた日は眠らず、それから2日間十分な睡眠をとってからテストを受けるグループ
このテストの結果が最も良かったのが③のグループで、その次に良かったのが②のグループでした。逆に最もテストの結果が悪かったのが④のグループで、全然覚えていませんでした。
この実験から、新しい情報を記憶する場合にはその日に十分な睡眠を取らないとまったく覚えられないこと、睡眠をしっかりとり続けることが記憶を定着させるのに効果があることが分かりました。
勉強した内容をしっかり覚え続けるためには、学習したその日にたっぷり睡眠をとることが大切です。その反対に、覚えたと思った内容であってもその日に睡眠を十分とらないとすぐに忘れてしまいます。
効率よく記憶するためには睡眠が重要なのです。