【神奈川県・公立高校受験】中3は受験対策に何をするべきか

 こんにちは講師の高野です。新型コロナでの長い休校が続いていますが、六月からの学校再開が実現しそうになってきましたね。

 中学三年生は来年に高校受験があります。こんなにも休校が続くということは誰も体験したことがありません。ただでさえ高校受験に不安があると思いますが、休校続きで受験は本当に大丈夫なのかと心配な中三生は多いはずです。今回は学校が再開してから取り組むべき受験対策についてお伝えします。

 中三は中一や中二の時とは違い、受験が待ち構えています。中一や中二の時は自分の学年の勉強だけを頑張れば良かったのですが、三年生になるとそれだけというわけにはいかなくなってきます。受験に向けた勉強も必要になってくるからです。でも何をすれば良いのかよく分からないという人は多いはずです。

 とにかくいろんなことをやらなければいけないというイメージがあるかもしれません。しかし何から取り掛かればよいかと考えると途方に暮れてしまうのではないでしょうか。ですがするべきことはとてもはっきりしています。

「三年で習う内容をマスターする」

これが一番するべきことです。一年生や二年生の復習は、その後です。

 そんなことで良いのか、今までの学年と変わらないじゃないかと拍子抜けしている人がいるかもしれんません。ですが本当にこれが大切なのです。

 その理由はいろいろありますが、一番大きな理由は三年生の内容をしっかり勉強するのが最も効率的で効果的だということです。

 中三の内容をマスターすることは、内申対策と学力検査対策の両方になるのでとても効率がよく効果的なのです。

 例年通りに公立の入試があるとすると、受験本番まであと8か月半ほどしかありません。時間の余裕は無いのです。だからこそ無駄なく受験対策をしていく必要があります。

 公立高校入試は内申(学校の成績)と学力検査(本番のテスト)、面接という三つの選考資料の合計で合否が決定されます。

 この三本の選考資料のうち、優先順位が一番高いのが内申対策です。なぜなら中三の成績は、公立高校では二倍にされて内申点にカウントされるからです。

 三年生の成績が二倍にされるということは、二年生の成績が低くても三年生で取り返しができるということです。逆に怖いところでもあります。三年生の成績が下がってしまうと、内申点は二倍下がってしまうことになるからです。

 例えば、二年生の成績にくらべて三年生の成績が1上がったとすると内申点は2上がることになります。2上がったのならば内申点は4、3上がったならば内申点は6上がるということです。もしその反対に三年生で成績が1下がってしまうと、内申点は2下がるという計算になってしまいます。成績が2下がるならば内申点は4、3下がるならば内申点は6下がるというわけです。

 志望する高校に必要とされる内申点よりも高い内申点が取ることができれば、本番のテストや面接で失敗しても多少はカバーが効きます。しかし内申点が低い場合、本番のテストや面接で高得点を取らないといけなくなってしまいます。これはとても大変です。

 なぜなら面接の得点はほとんど差がつかなくなってきているので、面接で逆転を狙えないからです。そのため学力検査で高得点を狙うしかないという状態になってしまうのです。

 高校入試に面接が初めて導入された時、受験する生徒一人ひとりの面接の点数はそれぞれ大きく異なっていました。受験生によって、点数にばらつきがあったのです。その時期でしたら、面接での挽回も不可能ではありませんでした。

 しかし、入試に面接が導入されて何年も経つうちに受験生はみんな同じ点数を付けられるようになりました。今年の受験生で一人面接が満点だった先輩がいましたが、それは例外中の例外です。ここ最近の面接はみんな同じ点数がつけられています。面接で挽回はきかないと思ってください。

 面接で逆転が望めないとなると、唯一の望みは本番の学力検査です。ですがこれはとても危ない橋です。

 入試本番のテストはとても緊張します。普段の定期テストや模試よりももっと緊張するのです。そこで高得点を狙わないといけないというのは、本当に大変です。落ち着いていたら解ける問題ができなかったり、うっかりミスをしてしまったりするのはよくある話です。受験本番では実力の8割を出せれば良いほう、という言葉があるくらいです。本番の学力検査に賭けるというのは、文字通り賭けになります。過去最高の点数を取れるかもしれませんが、実力を全然発揮できないかもしれません。フタを開けてみないと全く分からないのが、学力検査なのです。

 もし内申点が足りず学力検査で高得点を狙うしかないとなると、ものすごい努力が必要になります。本来の力の8割以下しか本番で発揮できなくても合格できるくらいの学力が必要になってくるからです。

 そんな大変さにくらべたら、学校の成績を上げて内申点をしっかり取る方が何倍も簡単です。そして、3年生の成績はまさにこれから付けられます。そこで良い成績を取るために授業をしっかり聞いて頑張りましょう。それが一番効果的で、楽なのです。

 「三年で習う内容をマスターする」。これが受験の内申対策と学力検査対策になると最初の方にお伝えしました。内申対策になるとはどういうことなのかをこれまでお伝えしてきましたので、今度は学力検査の対策になるとはどういうことなのか、これをお伝えします。

 先に結論を言います。中三の内容は他の学年の内容より学力検査での配点が高いので、三年生で習う内容をマスターするべきなのです。

 今年の神奈川県の入試問題を見てみましょう。

 入試問題の得点配分や出題分野はほとんど変わりません。多少の変化はありますが、入試で出される問題は基本的に同じパターンです。なので、過去に出された問題を見てどういった傾向なのか分析することは非常に有効なのです。

 まず数学です。

 今年の数学は全部で26問出ました。この26問のうち、中三の内容が17問です。これは得点で見ると67点分です。100点満点のうち、約70%の点数が中三で習う内容なのです。

 次に英語です。

 英語はリスニングテストも含め全部で30問出されました。リスニングは全部で7問が出題され、21点の配点でした。リスニングを抜いた筆記問題は21問で79点満点となります。

 英語は一年生・二年生・三年生と全学年の内容がからみあった問題が出されます。そのため中三の内容ができればそれだけで正解になるという問題は少ないです。しかし中三の内容が分かっていないと、問題を解くスタートラインにすら立てないというものばかりです。さまざまな学年の内容が複合しているからこそ、どこかに穴があると解けないのが英語の入試問題なのです。そういった意味では、中三の内容というのは英語の入試問題のほぼ全部に出てくると言えます。

 理科と社会は配点の傾向が似ているので、まとめて説明します。

 この二科目は一年生から三年生の各学年の内容がほぼ均等に出題されます。一年生の内容も二年生の内容も、そして三年生の内容も配点に大きな差はありません。しかしそれでも三年生の内容の配点が一番多くなる傾向があります。

 例えば今年の理科は全28問中10問、得点で示すならば100点中39点が三年生の内容でした。配点の約40%が三年生の内容だったのです。

 社会も同様に全31問中13問、得点で示すならば100点中35点が三年生で習う公民分野から出されています。それ以外に三年生で習う歴史分野もカウントすると、41点分が三年生で習う範囲から出題されていました。理科と同じく、配点の約40%が中三の内容だったのです。

 このように理科と社会は一年生から三年生の内容が全部出されますが、三年生で習う内容は少し多めの配点になっています。

 最後に国語ですが、これは例外的な科目です。三年生の内容が出やすいということはありません。

 模試と同じように、初めて見る文章を読んで答えるという問題が多く出ます。そのため他の科目と違って、中三の内容が多く出るということはありません。

 それよりも過去問を分析してポイントを絞ることが大切です。国語のポイントは、①漢字②古文③小説文と説明文の四択問題の3つです。細かい話は前回していますので、詳しい説明はそちらを見てください。

 さて国語以外の入試科目で、配点が最も高いのが中三の内容だということがはっきりしたと思います。科目によって中三の内容の配点割合はバラバラですが、一番配点が高いということは共通しています。だから中三の内容をマスターすることが大事なのです。

 受験というものを初めて経験するひとは多いと思います。しかしラッキーなことに、学校が再開してからの内容を頑張ることが最も受験対策として有効なのが公立高校入試です。

 三年生の内容を頑張れば、内申も上がり学力検査の対策にもなります。まさに一石二鳥のチャンスです。

 学校の成績も上がるうえに、学力検査に向けての準備にもなるのです。いいことずくめじゃありませんか。

 受験というと、とにかくがむしゃらに頑張らないといけないというイメージかもしれません。しかしそうではありません。的外れの努力をしても受験には合格しません。合格するために何が必要なのかを分析してしっかりとした作戦を立てることが大切なのです。

 学校が始まり、いよいよ受験の本格的なスタートが切られます。そこで一番に最初に取り組むべきなのは、これから授業で習う三年生の内容をしっかりマスターすることです。そうすることが内申対策になると同時に本番のテスト対策にもなるのです。

 また、三年生の内容を復習が必要ないくらいマスターできれば、一年生や二年生の内容を復習する時間をたっぷりとれるようになります。逆に三年生の内容があいまいだと、本番のテスト前に地獄のように苦しくなります。時間がない中で一年生や二年生の復習だけでなく、三年生の復習もしないといけなくなるからです。頭がいっぱいになってしまいます。

 受験について本当のスタートが始まる今、目の前の内容に集中することが一番大切です。

 良い結果になるよう、応援しています。なにか困ったり、聞きたいことがあったら遠慮なく言ってください。これまでたくさんの受験生を見てきたので、よいアドバイスができると思います。