【高校入試】内申点対策のポイント

 こんにちは講師の高野です。いよいよ新型コロナの休校が終わりましたね。学校が再開することに戸惑いを感じるひとも多いのではないでしょうか。今回は神奈川県の公立高校入試で重要な内申点(成績)を上げるポイントをお伝えします。

 神奈川県公立高校入試は、本番のテスト(学力検査)の点数だけで合格不合格は決まりません。本番のテスト以外にも、内申点と面接の点数が受験の合否に関係しています。たとえ本番のテストで満点が取れたとしても、内申点や面接の点数がボロボロだと合格できないということが起こり得るのが入試の仕組みなのです。

 では内申はどのくらいの割合が受験の合否に関係しているのでしょうか。じつは受験する学校によって違います。内申店は受験全体の何パーセントを占めるのか、それぞれの高校が好きに決めることができるのです。

 内申点を最も重視する学校は入試全体の50%が内申点です。逆に内申点を一番少なく見る学校は入試全体の20%しか内申点を見ません。

 このように内申点の割合は各高校が自分で決めて良いのですが、多くの高校は入試に占める内申の割合を40%に設定しています。小田原市のある県西地区でももほとんどの高校が内申点を40%に設定しています。

 内申点とは学校の成績のことです。前期や後期が終わる時に渡される、通知表に書かれた数字が内申なのです。

 この内申点ですが、一年生から三年生のすべての成績を見られるわけではありません。具体的には、二年生の成績と三年生の十一月に出る成績の二つしか見られません。この二つの内、三年生の十一月に出る成績は二倍されるのでとても重要です。

 では、受験のためにはその時期の成績だけが良ければいいのでしょうか。そうではありません。

 なぜなら、二年生の成績とは二年生の前期と後期の成績を平均したものですし、三年生の十一月の成績というのも三年生の十一月までの成績を平均したものです。なので、二年生の成績を良くしたいなら二年生の前期と後期の成績すべてを良くしないといけないですし、三年生の十一月の成績を良くしたいなら三年生の十一月までの成績の全部を良くしないといけないのです。結局のところ、受験に向けて内申点を高く取ろうとするなら、二年生から三年生の間の成績をつねに高くしていかないといけないのです。

 さて、どうすれば内申点を上げられるのかという本題に入ります。

 「内申点はどうやったら上がると思う?」こう聞かれたら、皆さんは何を思い浮かべますか?たぶん、「定期テストで良い点を取ること」というのが頭に浮かぶのではないでしょうか。

 たしかに、定期テストで良い点を取るというのは内申点を上げる際に大切なポイントです。特に、「5」という最高評価を狙うのでしたら絶対に避けて通れないポイントです。

 しかし、内申は学校の定期テストの点だけで決まるものではありません。定期テスト以外で内申に関わる大切なポイントがあります。それは通知表の「関心・意欲・態度」という評価項目です。

 通知表を見てみると、内申が何点だったかという数字の横に観点という項目があります。例えば数学でしたら次のような項目が縦に並んでいます。

①数学への意欲・関心・態度

②数学的な見方や考え方

③数学的な技能

④数量や図形などについての知識・理解

こうした項目のそれぞれにABCの評価がされているはずです。

 これらの項目で一番注目してほしいのが①の「意欲・関心・態度」という項目です。この項目は、英・数・国・理・社・保体・音楽・美術・技家の9教科すべての教科に必ずあります。それも一番最初にあります。

 この「意欲・関心・態度」以外の評価項目は、定期テストの点数が良くないと良い評価はもらいにくい評価項目です。

 しかし、「意欲・関心・態度」という評価項目は定期テストで良い点数を取らなくても、Aという高評価がもらえる評価項目なのです。そしてこの項目の評価が高いだけで、「4」がもらえることもあります。それくらい「意欲・関心・態度」という項目は成績に強く影響する項目なのです。

 たとえば、実際に次のようなことがあるようです。

 ある中学校に数学がとても得意な生徒がいました。その生徒は定期テストのたびに満点を取るくらい非常に数学のできる生徒でした。しかし授業中はだいたい寝ていて、提出物もほとんど出しませでした。さて数学の成績はいくつだったかというと「3」がつけられました。「意欲・関心・態度」の項目だけがCで、残りの項目はAだったにもかかわらずです」。

 この例は極端な例ですが、こういうことが起こるくらい「意欲・関心・態度」という項目は成績に深く関わっているのです。

 では、「意欲・関心・態度」の評価を高めるにはどうすれば良いでしょうか。それは次のことを実行することです。

❶授業中に寝ない

❷授業中に他の子と話さない

❸授業中に手を挙げて発言する

❹授業中に内職をしない

❺提出物を絶対に出す

❻提出物にABといった評価がつくものは最高評価を取る

❼準備や片付けのある教科は必ず準備や片付けに取り組む

❽先生に質問やアドバイスを求めに行く

❾先生を馬鹿にすることを言わない

➓提出物で最高評価を取る

こうしたことが実行できたなら、定期テストで高得点を取れなかったとしても「3」や「4」の評価をもらうことは可能です。

 身もふたもないですが、「意欲・関心・態度」での評価を上げるポイントは先生に好かれることです。オブラートに包んだ言い方をするなら、先生に「コイツ頑張っているな」と思われることが大切なのです。

 ❶授業中に寝ない、は当たり前と言えば当たり前なのですが、もしやっているひとがいるならすぐに止めましょう。先生の評価は最悪になります。

 ❷授業中に他の子と話さない、も❶授業中に寝ない、と同じです。もしやっていたのならすぐに止めましょう。

 ❸授業中に手を挙げて発言する、というのは抵抗が大きいかもしれません。「間違えたらどうしよう」とか「恥ずかしい」と思うかもしれません。しかし、非常に効果的です。

 もちろん、指された時に間違えてしまうより正解する方が良いです。けれども、手を挙げて発言するということ自体が、「先生に「真剣に授業を受けています」という強いアピールになります。手を挙げるだけ得なのです。

 真面目に授業を受けているし、テストや提出物もしっかりしているのに成績はあまり高くないというひとはいませんか。その原因はアピールの不足です。

 自分から積極的にアピールしなくても、まじめにコツコツ頑張っていれば評価されると思っていませんか。そんなことはまず無いです。これは大人になってからも同じです。

 先生は何十人という生徒を評価しなくてはいけません。ということは、先生の印象に残らないひとはとても不利なのです。

 ❹授業中に内職をしない、というのはやっていない人の方が多いとは思います。もし授業中に関係ない教科の宿題や塾の宿題などをやっているなら止めましょう。バレないと思っていても、教室の前の方から見ると案外分かってしまうものです。

 ❺提出物を絶対に出す、というのは成績を上げたいのでしたら必須中の必須です。宿題とか課題を「一回ぐらいは出さなくて大丈夫でしょ」と思ってはいけません。提出物は「意欲・関心・態度」の評価にかなり大きく影響します。もし提出期限を過ぎてしまったとしても、頭を下げてでも必ず提出しましょう。出さないよりははるかにましです。

 ❻提出物にABといった評価がつくものは最高評価を取る、というのは案外見落としがちなポイントです。特に「5」や「4」をねらうのでしたら、目指してください。どうやったら最高評価をもらえるのかよくわからない場合は、友達やその教科の先生に聞きましょう。特に先生に聞くのが一番お薦めです。

 ❼準備や片付けのある教科は必ず準備や片付けに取り組む、というのは体育や実技科目に多いものです。特に体育についてとても効果的です。体育で「5」を取ろうとするなら、運動の技能が優れていないといけません。しかし「4」なら運動が苦手でも十分ねらうことができます。それはこの準備片づけを率先してできるかどうかです。準備片づけというのは先生がこっそり評価しているポイントなのです。運動が苦手でも、準備片づけを毎回しっかりできていれば先生は評価してくれます。また逆に、運動が得意でも成績がいまひとつ伸びないというひとは、そこが足りていないのかもしれません。

 ❽先生に質問やアドバイスを求めに行く、というのはかなりハードルが高いです。「そんなこともわからないのか」とか「前に教えたばかりだぞ」と言われるのが怖いかもしれません。ですが、実行できたのならかなり効果があります。先生というのは教えることが好きな人間です。教わりたいという気持ちを持っている生徒をそうそう無下にしたりはしません。先生と仲良くなるチャンスでもあるのです。一度質問ができたなら、二度目以降はずっと質問しやすくなります。大切なのは最初の一歩です。ここが踏み出せたのなら、大きく変わります。また、何を質問したらいいか分からないという場合は、❻の提出物での高評価の取り方や成績の上げ方について聞いても良いです。特に成績の上げ方について、聞き方に気を付けないといけませんが大きなヒントが得られるかもしれません。本当に自分の進路について考えていることが伝われば、悪いことにはならないはずです。

 ❾先生を馬鹿にすることを言わない、はとにかく気を付けてください。その先生がいないから安心と思っても、悪口や馬鹿にすることを言うのが癖になっているとうっかりその先生の耳に入ってしまうことが起きかねません。

 以上が内申点を上げるために、「意欲・関心・態度」の高評価を得るポイントです。「意欲・関心・態度」の評価を上げることは定期テストで高得点を取ることよりも簡単なはずです。通知表を見返して「意欲・関心・態度」の項目がAになっていない教科があったなら、それがAになることをまず頑張りましょう。

 「5」を取ろうとするならならば、「意欲・関心・態度」の評価だけでは無理です。定期テストの点も重要になってきます。しかしそれも、「意欲・関心・態度」の評価が良いうえでの話です。そこが不十分ならやはりそこの評価を上げないといけません。

 ここから新学年がスタートします。成績を上げる良いチャンスの時期です。人間は、他の人間の評価をギャップで判断する傾向があります。

 たとえば、いつも喧嘩したり悪いことばかりしている人間が、迷子になっている子供を助けてお母さんやお父さんを見つけてあげるということを目撃したらどうでしょうか。「悪いやつと思っていたけど、本当は良いやつなんじゃないか」と思ったりしませんか?これと同じことが、新学年のときにねらえるのです。

 学年が変わってから、今までと違ったやる気のある姿を見せたら先生はどう思うでしょうか。よっぽどの先生でなければ、「受験や将来に向かって頑張ろうとしているんだな」と思い応援したい気持ちが湧いてくるはずです。

 進路のことを本気になって考え、成績を上げたいと思うなら❶から❾までの内容をぜひ実践してみてください。