アクティブ・リコール⑤
こんにちは講師のたかえもんです。前回は「アクティブ・リコール」の一種である、「プロダクション効果」についてお伝えしました。
今回は「プロダクション効果」とは異なる「アクティブ・リコール」の一種である、「プロテジェ効果」についてお伝えしていきます。
「プロテジェ効果」とは、「誰かに教えることで、学習内容の理解が深まること」です。実は教わっている側より、教える側の方が勉強になっているのです。
この「プロテジェ効果」は塾で講師をしている自分にとって、一番「確かに」と実感するものです。
塾の講師という職業は常に誰かに何かを教えています。教える経験を積めば積むほど、教えるスキルは向上します。ですが、それ以上に教える内容に対しての理解が深まっていることを実感します。
何かを教えるという行為は、自分が理解しているものを他の人に伝えるという行為です。その際に、自分の頭の中の理解を、他の人が分かる言葉に変換する必要があります。その作業が自分の理解の誤りや、不十分さを気づかせてくれます。
人間はわかったと思い込んでいるだけで、本当はわかっていないことが意外と多いです。そうした思い込みや理解の不十分さが「誰かに教える」ということをする時に発覚します。
「理解しているという思い込み」は、勉強をするうえで立ちはだかる大きな壁です。自分が本当にわかっているかどうかはアウトプットしてみないと判明しません。
そうした意味で、教えるという行為はとても勉強になります。
定期テストが近づくと、生徒同士が教え合うという光景がよく見られます。これはたいへん素晴らしい勉強方法です。ただし気を付けないといけないことがあります。それは「勉強を誰かに教えている生徒の方が、教わっている生徒よりも勉強になっている」ので、教える側と教わる側の役割を固定しないようにすることです。教えている側にばかり勉強になり、教わっている方はあまり勉強になっていません。友人間ではお互いに教え合うようにし、一方的な関係にならないようにしましょう。
教える相手は友達でなくても効果があります。家族や兄弟を相手でも効果がありますし、ペットや壁を相手にしても効果があります。
「誰かに教えることで、学習内容の理解が深まること」である「プロテジェ効果」は、自分が「わかっているつもり」でいることを明らかにし、一歩踏み込んだ勉強ができるようになります。
ある程度「わかった」という状態になったら、ぜひとも「プロテジェ効果」を活用して理解を深めてみましょう。