テスト効果⑦
こんにちは講師のたかえもんです。
前回まで「テスト効果(testing effect)」について紹介してきました。
「テスト効果」とは、テストをすることが学習に効果があるという現象です。また、「テスト効果」は事前の学習がなくても認められます。
なぜテストをしてみることは学習に効果があるのでしょうか?
この理由については検証中のようですが、「転移適切性処理説」というものが唱えられています。
「転移適切性処理説(transfer appropriate processing theory)」とはじつに仰々しい字面ですが、難しい内容ではありません。
「転移適切性処理説」は、学習の形式とテストの形式が近ければ近いほどテストの結果が良くなる、という説です。
例えば、本番で出される問題と同じ問題を解いて勉強するのと、本番で出される問題とは違う問題を解いて勉強するのとでは、本番の結果が良いのはどちらでしょうか?
言うまでもなく、本番で出される問題と同じ問題を解いて勉強する方ですね。
本番と違う練習をするよりも、本番そっくりな練習をするほうが効果があるというのはあたりまえです。
このあたりまえの考えが「転移適切性処理説」です。拍子抜けするくらいふつうの考えです。
ですが、意外とこの視点は抜けをやすいです。
単語や漢字を覚えようと練習する際、練習することに満足してしまうことが多いのではないでしょうか?
本番のテストでは、記憶しているものを適切にアウトプットすることが求められます。
そういった意味では、「練習するだけでおしまい」という姿勢は不十分です。
本番を想定できていません。
練習というインプット作業に加えて、実際にアウトプットがうまくできるかという確認が必要です。
テストをしてみることが学習に効果があるという現象は、テストをすることがアウトプットとなり、結果としてそれが本番に近い学習になっていたことに理由があるように思われます。
繰り返しになりますが、本番のテストでは適切にアウトプットできるかどうかが重要です。「覚えられているけれど、アウトプットできない」というのでは意味がありません。
ササキ塾では、英単語や漢字の練習の後に「自分テスト」をするようにと生徒に伝えています。
「自分テスト」とは、練習した内容をノートに満点取れるまでテストすることです。
英単語や漢字を覚えられたとして、適切にアウトプットできるのかを確かめるのが「自分テスト」です。
この「自分テスト」が練習の締めくくりとして行えるようになると、実力は大きく上がります。
英単語や漢字に限らず、何かを覚えたいと言うときは自分テストの実行を心がけましょう。
何かを覚えたいと思うなら、アウトプットがとても大切です。
英単語や漢字をぜんぜん覚えられないというひとは、アウトプットが不足しているのかもしれません。
勉強ができる人とそうでない人の違いは、アウトプットの回数が原因であることが多いです。
勉強の出来る人はちょっとした隙間時間に、「あの内容を忘れないで覚えているかな」と思い返したり復習や記憶の確認を頻繁に行っています。
逆に勉強が得意でない人は、授業が終わるとそれで勉強はおわりと考えて習った内容を思い返さない人が多いです。
高校入試が近づいてきましたが、有効な勉強方法を取り入れないとすぐに受験当日を迎えてしまいます。学習した内容を「忘れずに覚えているかな」と、こまめに思い返したり自分テストしたりすることがもっとも効果的な学習法です。
インプットよりもアウトプットを重視して、あと80日間頑張っていきましょう。