集中学習と分散学習②

こんにちは講師のたかえもんです。

前回は漢字や英単語の練習は、「集中学習」よりも「分散学習」の方が効果的というお話をしました。

「集中学習」とは5回書きや10回書きのように、連続して練習する方法のことです。

これに対して、「分散学習」は練習の間隔を空ける練習方法です。

「集中学習」と「分散学習」の正答率を比較する実験では以下の結果が出ています。

「集中学習」を行ったグループの練習直後の正答率は32%、1週間後の正答率は14%。

「分散学習」を行ったグループの練習直後の正答率は52%、1週間後の正答率は29%。

実験結果では明らかに「分散学習」の方が正答率が高いです。

ところが、どうにもこの実験結果は直感的には信じられない感じがします。「集中学習」の方が効果があるように思われるからです。

「集中学習」の方が効果があるように思える感覚について、次のような実験が行われました。

「地球儀=globe」という単語を覚えるために、「集中学習」をするグループと「分散学習」 をするグループの2つのグループを用意します。

「集中学習」をするグループはglobe→ globe→ globe、という3回書きの練習をします。

「分散学習」 をするグループは①「globe」と1回書く→②6分後に「globe」と1回書く→③6分後に「globe」と1回書く、という練習をします。

両方のグループとも「globe」という英単語を3回書くということは共通します。

その3回の練習中の正答率を集計します。すると以下の結果が出ました。

「集中学習」を行ったグループの練習中の正答率

練習1回目の正答率=89%、練習2回目の正答率=93%、練習3回目の正答率=94%

「分散学習」を行ったグループの練習中の正答率

練習1回目の正答率=21%、練習2回目の正答率=34%、練習3回目の正答率=44%

明らかに練習中は「集中学習」の方が「分散学習」よりも正答率が高いです。ところがこの集計結果に、練習直後とその1週間後に行ったテストの正答率のデータを突き合わせると意外なことがわかります。

「集中学習」を行ったグループの正答率

練習1回目89%、練習2回目93%、練習3回目94%、練習直後32%、1週間後14%

「分散学習」を行ったグループ正答率

練習1回目21%、練習2回目34%、練習3回目44%、練習直後52%、1週間後29%

「集中学習」を行ったグループの正答率は、練習中はとても高いです。しかし、練習が終わると正答率はガクンと低下します。つまり、「集中学習」を行うと練習の最中はよく覚えらますが、練習が終わると内容の大半が記憶から消えてしまうことが判明したのです。

これに対して、「分散学習」を行ったグループの正答率は、「集中学習」に比べると練習中の正答率は低いです。ですが、練習の回数を重ねるごとに正答率は増加し、本番にあたる練習直後のテストに正答率のピークが来ます。さらに、1週間後のテストの正答率は、練習直後の正答率よりも低下しますが、「集中学習」を行ったグループよりも高い正答率を維持します。

つまり、「集中学習」を行う方が「分散学習」よりも練習中はよく出来るようになっていますが、本番の正答率は低くなるため、結果として「分散学習」の方が効果が見込めると言えるのです。