クセと習慣①
こんにちは講師のたかえもんです。
今回はクセと習慣化についてお話をします。
イスに座るときについ足を組んでしまったり、ペンを持つときに人差し指に力を入れすぎてしまうなど、ひとには何かしらのクセがあります。
本当は良くないとわかっていてもやってしまうのがクセというものです。
ではどうしてクセなんてものが生まれるのでしょうか?
クセが生まれてしまう理由には脳の仕組みが関わっていると言われています。
脳は体重全体の2%ほどの重さを持つ器官です。ですが、身体全体が使うエネルギーの20%から25%を消費するとても大食らいな器官です。
これだけ大量のエネルギーを消費するのですから、脳にはなるべく無駄なエネルギーを使わないように変化するという性質が備わっています。
脳の中には神経回路(シナプス)が張り巡らされていて、神経回路(シナプス)を通して電気信号が伝わるという仕組みになっています。つまり、脳はコンピューターのように電気信号が伝わることで成り立っているのです。
脳の中に出来上がっている神経回路(シナプス)は、よく使われる神経回路(シナプス)は電気信号を通す効率を向上させていくという性質を備えています。逆に、あまり使わない神経回路(シナプス)は電気信号を通す効率を低下させていきます。
どうしてこんな性質があるかというと、無駄なエネルギーを使わなくするためです。
よく使う神経回路(シナプス)の電気信号の伝達効率を高めることで、無駄なエネルギーを使わないで済むようになります。反対に、あまり使わない神経回路(シナプス)の電気信号の伝達効率を良くしていても効果的ではありません。
もしかしたら一生使われないかもしれない神経回路(シナプス)を整備するよりも、よく使われる神経回路(シナプス)を整備するほうが効果的です。
こういった仕組みが脳に備わっているため、脳のよく使われる神経回路(シナプス)の電気信号伝達効率は良くなり、あまり使われない神経回路(シナプス)の電気信号伝達効率は悪くなります。
例えば、「7×9」と「7÷5」という2つの計算を例にとって見てみましょう。
「7×9」という計算の答えを出すのにエネルギーはそれほど使いません。九九を覚えていればそれほど苦労せず「63」という答えを出せるはずです。
それに対して、「7÷5」という計算はどうでしょうか?「1.4」という答えを出すのに、暗算でも筆算でもどちらで求めても良いのですが、「7×9」の計算よりも多くの時間とエネルギーを必要とするはずです。
どうしてかと言うと、「7×9」という九九を使う計算はほぼ毎日行いますが、「7÷5」という計算はほとんど行わないからです。
よく繰り返されるものはエネルギーの消費効率は良く、そうでないもののエネルギー消費効率は悪くなります。
九九の計算問題を10問解くのに比べて、答えに小数が出てくる割り算を10題解く方が圧倒的に疲れます。神経回路(シナプス)の電気信号伝達効率が良くないからです。
このことは勉強だけでなく、運動でも同じです。
人間の脳は無意識のうちにエネルギー消費効率の良い方を実行するようにできています。無駄なエネルギーを使っていたらすぐにエネルギー切れになってしまうからです。
これがクセの正体です。クセとは神経回路(シナプス)の電気信号伝達効率が良くなっている行動を無意識のうちに優先して実行してしまうことなのです。
よく繰り返す行動はエネルギー消費が少ないので、そちらを実行する方が楽に感じます。
本当は身体に負担がかかるような姿勢が正しい姿勢よりも楽に感じるのは、正しい姿勢でいるよりもエネルギーの消費が少ないように脳の神経回路(シナプス)が出来てしまっているからなのです。