「第二言語としての英語」と「外国語としての英語」⑤
こんにちは講師のたかえもんです。
前回は英語を学ぶ環境が①「第二言語としての英語(ESL=English as a second language)」である国では、「生活言語(BICS=Basic Interpersonal Communicative Skills)」と「学習言語(CALP=Cognitive Academic Language Proficiency)」の両方を習得する必要があるという話をしました。
今回は英語を学ぶ環境が②「外国語としての英語(EFL=English as a foreign language)」である国についてお伝えしていきます。
②「外国語としての英語(EFL)」とは、英語を使った会話が日常生活を送るうえで必要ない国での英語を指します。例えば、韓国や中国などがこれに当てはまります。
英語が②「外国語としての英語(EFL)」である国では、英語は母語ではありません。他の言語が母語です。韓国は韓国語が母語で、日常生活では韓国語を使って会話します。英語を使って日常会話をするわけではありません。中国も同じように、中国語が母語です。英語ではなく中国語を使って日常会話をします。
韓国や中国のように英語が②「外国語としての英語(EFL)」である国では、会話中心の「生活言語(BICS)」を習得する必要性はあまりありません。
それよりも論文やマニュアルなどを読み解き、文法的に正しい文章を作成する「学習言語(CALP」の習得の方が必要になります。
単純化すると、英語が②「外国語としての英語(EFL)」である国では「スピーキング」や「リスニング」よりも「リーディング」や「ライティング」の方に需要があると言えます。
よくある話に、「英語圏に留学していたときは英語を話せたのに、帰国するとすっかり英語を話せなくなる」というものがあります。これは英語を使った会話をしない環境に戻ってきたことが原因です。
英語が母語である国や①「第二言語としての英語(ESL)である国で生まれ育った人は、英語を使った会話を無意識のうちに習得しています。それに対して、英語が②「外国語としての英語(EFL)」である国に生まれ育った人は、英語の会話を意識的に習得しないといけません。努力で身に付けたものなので、使わないでいるとすぐに錆び付いてしまうのです。
そして、英語が②「外国語としての英語(EFL)」である国では英語を使った会話をしないですみます。需要がないのです。
こうした環境の国では、「生活言語(BICS)」よりも「学習言語(CALP」の方が需要のあるものとなります。
英語が②「外国語としての英語(EFL)」である国では、「学習言語(CALP」の習得の方が「生活言語(BICS)」の習得よりも優先されます。
一般的に、「生活言語(BICS)」よりも「学習言語(CALP」の方が難易度が高く習得に時間がかかります。英語が②「外国語としての英語(EFL)」である環境では、「生活言語(BICS)」を習得してから「学習言語(CALP」を習得するよりも、「学習言語(CALP」を習得してから「生活言語(BICS)」を習得する方が短い時間ですみます。言語環境によって効率的な習得方法は変わるのです。
さて、英語の言語環境は①「第二言語としての英語(ESL)」と②「外国語としての英語(EFL)」の2種類に分けられるというお話をしてきました。では、日本において英語は①「第二言語としての英語(ESL)」なのか、それとも②「外国語としての英語(EFL)」なのかどちらでしょうか?答えは次回お伝えします。