「第二言語としての英語」と「外国語としての英語」④

こんにちは講師のたかえもんです。

前回、英語を学ぶ環境が①「第二言語としての英語(ESL=English as a second language)」②「外国語としての英語(EFL=English as a foreign language)」に分類されるというお話をしました。

「第二言語としての英語(ESL)」は、英語が公用語の1つになっている国での英語を指します。

例えば、インドやフィリピンなど英語圏の植民地だった国で使われている英語が①「第二言語としての英語(ESL)」です。

インドではヒンディー語を筆頭にベンガル語やタミル語など22以上の言語が使われています。これだけ多くの言語が1つの国で使われていると意思疎通が大変です。そこで役立つのが英語です。とりあえず英語が使えれば、ヒンディー語を使う人とタミル語を使う人でも意思疎通が可能となります。母語ではないけれど、使えないと生活に困るという英語が①「第二言語としての英語(ESL)」なのです。

英語が①「第二言語としての英語(ESL)」である国は、「生活言語(BICS=Basic Interpersonal Communicative Skills)」だけでなく「学習言語(CALP=Cognitive Academic Language Proficiency)」の両方を習得する必要があります。

日常生活で英語が使われるため「生活言語(BICS」が必要なのは自然な話です。しかしそれだけでなく、「学習言語(CALP)」も習得しないといけないのはなぜなのでしょうか?

それは、学校の教科書や専門書が英語で書かれたものしかないからです。

教育を受けるためには英語で書かれた教科書を使うしかありません。数学や理科といった内容まですべて英語で説明されます。そのため、日常的には使わない学術用語や専門用語も英語で理解できないといけません。

「生活言語(BICS」を身に付けて英語で自由に会話ができれば、数学や理科といった内容も難なく理解できると思えるかもしれません。ですが、いくら英語での日常会話ができてもそれだけでは数学や理科といった高度な内容を理解することにつながりません。

これはどういうことなのか。日本の学校の授業を思い浮かべてください。

日本人であるならば、ほとんど誰でも日本語で会話することが出来ます。日本語が使われていれば相手が何を言っているか分かります。日本の学校の授業は日本語で行われます。日本語以外の言語で行われることはまずありません。

では、日本語で実施される数学や理科の授業を、日本人の100%が理解できているのでしょうか?そんなことはありませんよね。

日本語が使われているにもかかわらず、何を言っているのか分からないということはあります。

学問的な内容は「生活言語(BICS」を身に付けているだけでは理解できません。日常会話ができるとは別な次元での、意識的な訓練が必要です。つまり「学習言語(CALP)」の習得も必要になるのです。

こういった事情があるのでインドやフィリピンなどの、英語が①「第二言語としての英語(ESL)」である国では「生活言語(BICS」と「学習言語(CALP)」の両方を習得する必要があります。