ロシアのウクライナ問題について⑨

こんにちは講師のたかえもんです。ウクライナの東部で、再編成されたロシア軍の侵攻が始まりました。ウクライナの東部は開けた地形のため、軍と軍が正面から衝突することになります。ウクライナにとってより厳しい戦いになることが予想されます。

4月4日、ロシアの野党第2党「公正ロシア」のセルゲイ・ミロノフ党首は「多くの専門家は、ロシアが北海道に対してあらゆる権利を持っていると考えている」と発言しました。

日本はロシアと北方領土問題を抱えていますが、北方領土を飛び越えて北海道の領有をロシアは目指しているかのような発言です。この発言はロシアが北海道侵攻を考えているサインなのか、それとも別の意図があってのものなのか大いに気になります。

まずロシアの北海道への侵攻の可能性ですが、現状では低いと思われます。

北海道には約2万人の自衛隊が存在しています。それに対してロシアは極東方面に8万人ほどの軍隊を駐留させています。単純な人数を比較するとロシア軍の方が多いのですが、長引くウクライナ侵攻でかなりの数がウクライナ方面に引き抜かれています。さらに海を越えて北海道にロシア軍を上陸させるための揚陸艦が4隻しかありません。これはフル稼働させても4000人ほどしか上陸させられず、揚陸艦の数がまったく足りていません。

また事前準備をしている動きが衛星写真などからも感知できません。もし北海道上陸を本気で考えているなら、絶対に事前準備をするはずです。それが感知できないというのはありえません。

こうした事情からロシアによる北海道侵攻の可能性はかなり低いと言えます。

またロシアとしても北海道の獲得はウクライナ(やベラルーシ)の獲得に比べて熱意がそこまであるわけではありません。

ウクライナやベラルーシは言語や宗教、文化がかなりロシアと近く、帝政時代やソ連時代には一緒の国でした。そのためロシアとしては、かつてのロシア領を取り返すという気持ちが強く働いています。

それに対して日本は言語も宗教も文化も違い、歴史的にもロシアの下にいた時代も無いため、ロシアとしては関心が低いと言えます。

北海道を獲得する戦力もモチベーションも低いため、ロシアが北海道に攻めてくる可能性はかなり低く見積もれるのです。

ではなぜこのような発言が野党第2党「公正ロシア」の党首からされたのでしょうか。

可能性が一番高いのは、ロシアに対して経済制裁をしている日本への釘刺しです。

万が一日本が経済制裁を緩めてくれれば儲けもので、実際は日本の政治家や世論の動きを見るための観測気球であると考えられます。

こうした情報に対して大切なのはパニックになったり、ヒステリックな反応をしないことです。

恐れるべきものは、恐れなくてはいけないです。しかしやみくもに恐れてはいけません。

よく知ろうともせずに感情的な反応をすることは相手を利するばかりです。

難しいですが、1つの衝撃的な情報に触れたらその裏取りをすることが大切です。

インターネットが発達する前の時代でしたら、裏取り自体が一般人には困難なものが多くありました。インターネットが発達するようになった現代では、情報の発信元にさかのぼることはとても簡単にです。調べようと思ったら自宅でいくらでも調べられるようになりました。大変便利な時代になりました。

今後、ロシアのウクライナ侵攻で困難さが増す時代になると予想されます。物価の上昇、安全保障費の増大、食糧の不足。これまでより生きるのが大変な時代になりそうです。そうした時代では情報の精査が重要になってきます。

しかしながら、そうは言っても個人の力では当然ながら限界があります。ですが基本的な姿勢として、「好悪にもとづいた感情的な反応をしていないか」「主義主張で現実をねじ曲げて受け取っていないか」という反省を持ち続けていきたいものです。