勉強ができるひとの頭の使い方

 こんにちは講師の高野です。新型コロナのせいで休校が続いて、飽きあきしている生徒の皆さんも多いと思います。特に中三生の皆さんは、受験がどうなるのか一番不安を抱いているかもしれません。

 さて今回は勉強ができる人の頭の使い方についてお伝えします。学校生活で忙しくない今だからこそ、一つレベルアップした自分になってみませんか?

 皆さんの周りに自分と同じぐらいの勉強をしているのに、自分よりもテストの成績が良い人はいませんか。その人と自分は何が違うのか考えたことはありますか?

 多くのひとは、「もともとの頭の良さが違う」と考えるのではないかと思います。

 では、生まれ持った頭の良し悪しは変えられないのでしょうか。生まれつき頭の良い人のようには絶対になれないのでしょうか。

 そうではありません。あるポイントをおさえられれば大きく変わることができます。

 そのポイントとは特別に難しかったり複雑だったりはしません。たった二つのポイントです。やってみようという気持ちがあればだれにでもできるようなことなのです。そのおさえるべき二つのポイントとは、

①頭を空っぽにして板書を写さない

②授業中以外の時間も授業内容を反芻(はんすう)する

というこの二点です。「?」という人も多いと思いますので、一つひとつ詳しく説明していきます。

 まず①頭を空っぽにして板書を写さない、とはどういうことか。

 皆さんは学校の授業などで板書をノートに写す際に、頭をどう使っていますか?黒板に書かれていることを正確に写そうということばかりを考えていませんか。大多数のひとはそう考えて板書を写していると思います。かくいう自分も、よくそうしていました。

 しかしここで大きな差がつけられているのです。

 いわゆるデキるひとは、板書を写す際にも頭をフルに使っています。黒板をノートに写しながら、「ああ、こういうことなのか」「これはどういうことなのかな」「こういうことかな」「この場合はどうなるのかな」等と自問自答を繰り広げているのです。おそらくはこれを意識的にやってはいないでしょうが、無意識のうちにデキるひとはやれているのです。

 普通、ノートをとるという行為は受け身の行為です。しかし、頭の良いひとは能動的にノートをとっているのです。能動的とは受け身の反対の意味で、「自分から、積極的に」という意味です。

 学校の先生などから言われる通りにノートをとっているだけではいつまでたっても進歩しません。頭を使ってノートとることがレベルアップの大きなポイントなのです。板書をした先生と格闘するのです。いったいどういうことを言っているのか、納得できるまで頭脳を使って板書された内容と闘うのです。

 考えに考え抜くということがとても大切なのです。とても頭を使うので疲れます。しかし続けていくうちに扉が開く瞬間が必ずやってきます。レベルが上がる扉です。そこにたどり着けたら、大きくまわりの見方が変わってくるはずです。それがレベルアップしたあかしなのです。

 もしいくら考えてもよくわからない時は、その場とか授業後に質問しましょう。先生というのは教えることが好きです。授業の内容について質問をしてくれる生徒のことが大好きなのです。一気にその先生と仲良くなれるはずです。そのうえで考え抜くことを続けられたなら、いつか必ずレベルアップします。

 次に②授業中以外の時間も授業内容を反芻(はんすう)する、ということについて説明します。

 反芻(はんすう)とは難しい言葉ですが、「繰り返して考えること」です。この言葉は、牛や鹿が食べた草を消化するために 一度飲み込んだものを何度も口の中に戻して噛むのを繰り返すことから来ています。

 生徒の皆さんは学校や塾の授業が

終わってから、頭をどのように使っていますか?

 多くのひとは授業が終わったので勉強以外のことを考えるのではないでしょうか。実はここにも大きな差がつけられてしまうポイントが隠れているのです。授業が終わったのでそれで学びはハイお仕舞いとするのではなく、授業時間以外にも考え続けることが重要なのです。

 勉強が本当にできるひとは授業が終わってからも学習した内容を考え、日常生活に結び付けているのです。

 例えば、学校などの帰り道にピンクの花を咲かせている植物が目に入ったとします。その葉っぱを見ると網目状の筋があります。そこから、「ああ、葉っぱが網状脈をしているからこの植物は双子葉類で根っこは主根と側根に分かれているんだな」と考えられるのが学習した内容を日常生活に結び付けられているということです。

 自分が中学生の時、数学が一番苦手でした。その一方で、友達の中で数学がとても得意な友達がいました。ある日、彼と一緒に塾から帰りました。中学校も一緒だったので学校であったことなどを話しながら帰宅していたのですが、ときどきその彼は「おっ、できた」「よしっ」とかつぶやくのでした。疑問に思ったので、「どうしたの?」と聞きます。すると彼は「そばを通った車のナンバープレートに書かれている四つの数字を足したり掛けたり割ったり引いたりして、10ぴったりになるかゲームしてるんだ」と言うのです。

 そんなことを考えたこともなかったのでびっくりして「いつもやってるの?」と聞きました。「うん、小学5年ぐらいからやってるよ。できると楽しいんだ」と涼しい顔をして彼は言うのです。敵わないなと思ったことを今でも覚えています。

 ここで例に挙げたことは非常にレベルが高いことですが、本当に勉強ができるひとはこのように頭を常に使っているのです。

 ここまでレベルの高いことはすぐには取り組めないので、まずは頭の中でこれまでに習ったことの予習・復習には取り組んでみましょう。

 新型コロナで学校や塾に来ることはできませんが学校などが再開したら、前の日にどんなことを学習したかを思い出しながら登校してみましょう。また帰宅する際にも、その日にどんなことを習ったか思い出しながら帰宅するようにするのです。

 ひとは忘れる生き物です。一度わかったと思っても工夫をしないとすぐに忘れてしまいます。記憶力の良いひととは、思い出すことを頻繁にする人間のことなのです。忘れやすいひととは、じつは思い出そうとしない人間のことです。

 これが授業時間以外にも授業内容を思い出す、反芻(はんすう)するということなのです。これができたら絶対にレベルアップできます。

 以上、勉強ができるひとの頭の使い方について説明してきました。その使い方の一つ目は、頭を空っぽにして板書を写さないということです。二つ目は、授業中以外の時間も授業内容を反芻(はんすう)するということです。

 最初はとても疲れると思います。しかし、本当にレベルアップしたいと思うならぜひとも実践してみてください。少し考え方や意識を変えるだけです。実行できれば効果は絶大です。