楽しみながらできる読解力トレーニング<その1>
自らも小学生向け国語専門塾を開いていらっしゃる福嶋隆史氏の出している「本当の国語力」シリーズはどれもおすすめです。
私の塾でもよく使っていますが、ご家庭でも使いやすい問題集だと思います。ただ問題と解答・解説が書いてあるだけの問題集ではなく、「おうちの方へ」というコーナーもあり、
保護者の方へのアドバイスにもページ数が割かれています。
その福嶋氏がどの問題集でも強調しているのが、国語力=論理的思考力の土台となる3つの力です。
言いかえる力(同等関係整理力)
くらべる力(対比関係整理力)
たどる力(因果関係整理力)
福嶋氏が作るほとんど問題集は、この3つの力をつけるためにある、と言っても過言ではありません。
言いかえる力(同等関係整理力)とは、具体と抽象を言いかえる力のことです。
「みかん・りんご・バナナ」といった具体的な表現(くわしい言い方)を「果物」といった抽象的な表現(まとめた言い方)に言いかえられる力です。
「みかん、りんご、バナナ。 つまり、果物。」のように、「つまり」を使うと抽象化することができ、その逆に
「果物。たとえば、みかん、りんご、バナナ。」のように、「たとえば」を使うと具体化することができます。
これに慣れてきたら、
食べ物 → 果物 → バナナ → フィリピンバナナ
みたいに抽象から具体に階層化する練習もします。
福嶋氏はこれを「マトリョーシカ方式」と名付けています。
人形の中にちょっと小さな人形、またその中にさらに小さな人形が入っている「マトリョーシカ」というロシアの人形がとったネーミングです。(下の写真参照)
入れ小型、と言ってもいいかもしれません。
例が単純すぎて、あまり重要性が感じられないかもしれませんが、学力が低い子、伸び悩む子は、このように、物事を階層化する力が非常に弱いです。
ところで、具体化や抽象化の練習は、ゲームっぽくやれば、楽しくトレーニングできます。
たとえば、「動物」というお題を出します。
AとBの二人でやる場合、交互に少しずつ具体化した言葉を言っていきます。
「動物」の次はAが「哺乳類」、次にBが「犬」、Aが「ポメラニアン」…、と言ったように。
もちろん、言葉につまった方が負けです。
逆にどんどん抽象化していくゲームもできます。
たとえば「Aさんの数学のノート」という具体的なものから始めて、B「Aさんのノート」A「ノート」B「文房具」…、といった感じですね。
最初にあげた「つまり」と「たとえば」を使った練習なら、さらに簡単です。
これもAとBの二人でやるなら、
A「飛行機、新幹線、自転車。つまり?」
B「乗り物!」
みたいな。これは抽象化のゲーム。
逆に、
A「野菜。たとえば?」
B「キャベツ、白菜、にんじん!」
とか。
「そんなの簡単すぎてつまらない」という人は、もっと難しい言葉を使ってやればいいのです。
工夫次第で色々なバリエーションが考えられると思いますので、ぜひ兄弟や親子や友達同士でやってみてください。楽しみながら論理的思考力を身につけられること、間違いなしです。
言いかえる力(同等関係整理力)
くらべる力(対比関係整理力)
たどる力(因果関係整理力)
今回は、3つの力のうちの一つ目「言いかえる力(同等関係整理力)」について紹介しました。
長くなったので続きはまた次回。
P.S.マトリョーシカって、なんか不気味(笑)