読解力を身につけるために①

 ササキ塾専任講師の高野です。

 読解力とは何でしょうか?

 「文章を読んで、文章の書き手が何を表現したいのかを理解する能力」。読解力とはこのような能力のことです、と考える方が大多数だと思います。私もそう思います。

 では、どうやったら読解力が身につくのでしょうか?

 「たくさん読書をすれば、読解力は身につく」。一般的にはこのように考えられているでしょう。ですが、この言い分は話がグルグルと循環しています。

 話がグルグルと循環しているとはどういうことでしょうか。そのことを理解するためにはまず、読解力を身につけようという問題意識はどうして生まれるのかを考えてみる必要があります。

 それは、書いてある文章を正確に理解できなくて困ったためでしょう。文章の内容を把握できなくて大変な思いをしている、だから読解力を身につける必要があるとこう思うわけです。ここまでは筋の通った話です。

 しかし、読解力を身につけるためのトレーニング方法として、読書を多く行うという方法をとるのはどうなのでしょうか。こうした思考の流れを言葉であえて表現すると次の文のようになります。「文章をよく理解できないので文章を理解するための読解力を身につけるために文章をたくさん読む」。

 手段と目的が堂々巡りをしているように見えませんか?

 もちろん、気合と根性でひたすら読書に取り組めば、確かに読解力というものは身につくでしょう。しかし、あまりにも根性論に傾き過ぎたやり方です。目標とする能力を身につける前に挫折してしまう人がほとんどではないでしょうか。目標を達成できるとしても、途中で脱落してしまう可能性が高い方法は優れた方法とは言えません。そもそも、それができるのであれば、読解力の不足を問題に感じたりはしないでしょう。

 たくさんの文章を読むこと、多読が読解力を身につける手段として間違っているわけではありません。しかし、それが出来れば苦労はしないのです。であるならば、読解力を身につける手段として多読以外の方法を見つけることこそが重要になってきます。

 多読以外に、どのような方法が読解力を身につけるために存在するのか。話が長くなるので、その話はまた次回にさせていただきます。