ボルヘスの「幻獣辞典」に挑戦〜面白読書より
毎週木曜日に実施している「面白読書」の授業では、毎週様々な分野の本を紹介しています。
先週紹介したのは、博識で名高い盲目のアルゼンチン作家、ボルヘスが編纂した「幻獣辞典」です。
人類が考え出してきた想像上の動物を古今東西の文献から集めている本です。
今回の授業ではいくつかの幻獣を取り上げ、文章からイメージできるイラストを参加者さんたちに書いてもらいました。
同じ文章を元にした絵でも、人によって全然印象の違う絵になる、ということがよくわかりました。
実際に写真を撮ったので、見比べてみましょう。
まずは「カフカの想像した動物」から。
カフカとは「変身」で有名なあのフランツ・カフカです。まずは文章の一部を引用します。
「この動物には大きな尾がある。それは数ヤードあって、狐の尾のようなのだ。」
「カンガルーに似ているのだが、しかし顔付はちがっていて、人間の顔のようにのっぺりとし、しかも小さくて卵形なのだ。ただ歯のみが、隠れていてもみえていても、なんらかの表情を示す。」
では、この文章を元に描いたイラストたちをどうぞ。
次は「マルティコラス」という幻獣。
「歯が三列に並び、それが櫛の歯のようにかみあい、人間の顔と耳をもち、目は群青、からだは血の色をし、獅子の姿をして、尾の先端は蠍(さそり)のように棘(とげ)になっている。声は笛と喇叭(らっぱ)の音を合わせたようなものである。」
おそろしいですねえ。フローベールという作家はこの描写に手を加え、マルティコラスに次のようなセリフまで言わせています。
「わしの爪は錐(きり)のように鋭く長く曲がっており、歯は鋸(のこぎり)の歯のように磨ぎすまされている。休みなく動く尾は針でちくちくし、これをわしは左に右に、前に後ろに飛ばすのだ。みるがよい!」
ひえ〜〜〜。勘弁してくださ〜〜〜〜〜い(笑)
というわけで、みんなの マルティコラスはこちら。
最後は「ニスナス」という怪獣。
「片目、方頰、片手、片足、胴体片方、胸片方しかない。」その上「その片足で実に敏捷に跳びまわる」
ある一族は「胸に顔があり、また羊のような尾をもつ。この肉は美味で、たいへん珍重される。」
別の種類のニスナスは「蝙蝠(こうもり)の羽」があるそうです。
では、みんなのニスナスをどうぞ。
面白読書、毎週面白いことをやっています。