塾長の英語ヒストリー①英語が好きになった意外とくだらないきっかけ

私の亡父は英語なんてほとんど話せませんでしたが、私に英語への興味を持つきっかけを与えてくれました。

酔っ払って、わけの分からない言語をつぶやき、それを「英語」と称していたのです。もちろん冗談なのですが、幼い私は半分以上、それが本当に英語というものだと思っていたようです。

酔っ払いの、ただの訳の分からないおふざけなのですが、とても嬉しそうに話していたので、「英語って面白そう」という勘違いを生んだのです。父は普段は無口で、冗談などもあまり言わない人でしたが、自称「英語」を話している時は、やけに楽しそうだったので、それが私の中にインプットされました。

あと、もう一つのきっかけもやはり父でした。会社から、勤続十年ということで記念品として父がコンパクトな辞書をもらってきたのですが、その辞書は基本的には国語辞典なのに、見出しの一番下には、その言葉を英単語にしたものが載っていたのです。今思うと随分お得な辞書だな、と思うのですが、単語の横にはカタカナで発音まで書いてありました。私はそれで、英語の単語に興味を持って覚えるようになったのでした。今のように、インターネットで何でも調べられるような時代ではなかったので、その辞書に載っている英単語は、私にとって異世界への扉でした。とてもワクワクしたのを覚えています。

ほどなくして、父が酔った時に話している言葉は英語ではないということを知りました。少しだけがっかりしましたが、ほとんど私のものとなっていた素敵な辞書がそばにいてくれたので、失望感はさほど大きくなかったようです。

小学校の4年生ぐらいの時に、2、3ヶ月だけ英語の教室に通いました。アルファベットとかを書いて練習した記憶があります。でも、人見知りだったので、先生にも他の生徒にも教室にもあまり馴染めませんでした。引っ越しをきっかけにやめることになり、内心「ラッキー!」と思っていました(笑)

しばらく英語からは遠ざかりましたが、小5の終わりくらいにMさんという母の知り合いの女性に週に1回英語を教えてもらいました。自宅から徒歩5分ぐらいの距離にある団地のMさんの部屋に私が通って教えてもらう形でした。私が教えてもらう立場なのに、Mさんは毎回休憩時間にとっても美味しいケーキと飲み物を出してくれました。英語の発音がネイティブ並みに綺麗で、とても優しく教えてくれ、しかも美味しいものまでいただけるという、今思うと実にぜいたくな環境でした。

週1回の宿題が単語カルタを作って覚えてくる、というものでした。あと、テキストの英文暗唱もありました。これをやるのがちょっと面倒臭かったのですが、2年弱ぐらい通い続けました。