改訂版【高校入試】内申点アップの秘密

 こんにちは講師の高野です。いよいよ新型コロナによる休校が終わりましたね。学校が再開されることに戸惑いを感じるひとも多いのではないでしょうか。今回は神奈川県の公立高校入試で重要な内申点(成績)を上げるポイントをお伝えします。

 内申点とは、「二年生の成績の合計」と「三年生の成績の合計を2倍したもの」を足し算したものです。

 計算式っぽく書くとこうなります。

(二年生の成績の合計)+(三年生の成績の合計の2倍)=内申点

 成績とは、通知表に書かれた5段階評価のアレのことです。成績の最高評価は「5」なので、各学年の成績の合計は9教科×「5」=45でマックス45点となります。そうすると、内申点の最高点は

(9教科×「5」)+(9教科×「5」の2倍)=45+90=135で、135点となります。

 例えば二年生の成績がすべて3で、三年生の成績もすべて3だったとします。すると内申点は、

(9教科×「3」)+(9教科×「3」の2倍)=27+54=81で、135点中81点となります。

 まだ三年生の成績は出ていませんが、二年生の成績がこのまま三年生になっても変わらないと仮定した場合の内申点は求めるができます。二年生の成績を3倍するのです。そうすると三年生になっても、二年生からの成績が変わらない場合の内申点が求められます。

 さて内申点の求め方についてお伝えしましたが、注意しないといけないことがあります。それは、二年生や三年生の成績というのはそれぞれの学年全体を見ての評価なので、後期だけ頑張れば良いというわけではないということです。

 各学年の成績を上げようとするなら、その学年の最初から最後までずっと頑張らないといけません。ピンポイントにひとつの時期だけ頑張れば良いということはないのです。

 では、どうすれば成績((内申)を上げられるのかという本題に入ります。

 「成績(内申)はどうやったら上がると思う?」こう聞かれたら、皆さんは何と答えますか。たぶん、「定期テストで良い点を取ること」と答えるのではないでしょうか。

 たしかに、定期テストで良い点を取るというのは成績(内申)を上げる際に大切なポイントです。

 しかし、成績(内申)は学校の定期テストの点だけで決まるものではありません。もう一つ成績(内申)の決定に関係するものがあります。

 それは「意欲・関心・態度」です。

 これは授業態度を評価するものと考えてOKです。そして、皆さんが思っているよりも成績(内申)の決定に強く関係しています。

 たとえば、最近次のようなことがあったようです。

 ある中学校に数学がとても得意な生徒がいました。その生徒は定期テストでほぼ毎回、満点を取るくらい数学の非常にできる生徒でした。しかし授業中はだいたい寝ていて、提出物もほとんど出しませでした。さて数学の成績はいくつだったかというと、「3」だったのです。通知表を見ると、勉強に関する評価はすべて最高評価の「A゜」や「A」だったのに、「意欲・関心・態度」に関する評価だけが最低の「C」だったそうです。

 これほど授業態度と学校のテスト結果にズレがあるひとはまれです。ですが、こんなことが起きるくらい「意欲・関心・態度」という評価は、成績に強く影響します。

 さて、どうやって成績(内申)を上げるか具体的な方針を決めていきましょう。

 通知表を見てください。各教科の「意欲・関心・態度」は「A゜」「A」「B」「C゜」「C」の五段階評価のうち、どの評価がつけられていますか?

 もし「意欲・関心・態度」に「A゜」や「A」がついているのなら、するべきことは一つだけです。定期テストで高得点を取ることです。どんどん問題演習や過去問を解いて、実力の底上げを図っていきましょう。

 しかし、「意欲・関心・態度」に「B」や「C゜」「C」がついているのなら、「意欲・関心・態度」の評価を「A゜」や「A」にアップさせましょう。これが一番やるべきことです。

 もちろん、定期テストの結果も大切です。けれども、定期テストの結果を向上させるよりも簡単なのが「意欲・関心・態度」の評価の向上です。そして、「意欲・関心・態度」の評価を上げようと努力することは、定期テストの結果の向上にもつながります。だから、「意欲・関心・態度」の評価が高くないひとは、まずはこの評価を上げることに力を尽くしましょう。

 それでは、「意欲・関心・態度」の実践的な上げ方についてお伝えします。

 授業中に寝ていたり、ほかの生徒としゃべるというのは論外です。もしやっていたのなら、すぐに改めましょう。先生への悪口などはもってのほかです。

 こういったことをしていないのに成績(内申)が上がらないというひとは、アピール不足が原因として考えられます。

 学校の先生であっても、ひとりの人間です。三十人以上の生徒を平等に見ることは、まず不可能です。どうしてもアピールをする生徒に目が行ってしまうのです。

 まじめに授業を聞いていることに加えて、次のことが実行できるとかなり効果があります。

❶授業中に手を挙げて発言する

❷提出物を絶対に出す

❸提出物にABといった評価がつくものは最高評価を取る

❹準備や片付けのある教科は毎回必ず準備や片付けに取り組む

❺先生に質問やアドバイスを求めに行く

 「❶授業中に手を挙げて発言する」、というのは抵抗が大きいと思います。「間違えたらどうしよう」とか「恥ずかしい」と感じる人がほとんどでしょう。しかし、とても有効なのです。

 手を挙げて指された時に、間違えてしまうよりは正解する方が良いです。けれども、手を挙げて発言するということ自体が、先生に「真剣に授業を受けています」という強いアピールになります。もし指されて間違えてしまっても、「ふざけている」と受け取られないかぎりはマイナス評価にはなりません。手を挙げるだけ得なのです。

 そして、授業中に手を上げようとすることは、知らず知らずのうちに授業内容への理解向上につながります。「間違えても平気だからどんどん手を挙げよう」とお伝えましたが、そうは言っても間違えることは嫌だと思います。だからこそ、手を挙げて指されたときに間違えないよう、授業を以前よりも真剣に聞くようになるのです。

 授業中に手を挙げようと意識することは、授業への取り組みの質を無意識のうちに高めることにつながります。

 「❷提出物を絶対に出す」、というのは成績を上げたいのなら必須中の必須です。宿題や課題を「一回ぐらいは出さなくても大丈夫だろう」と思ってはいけません。提出物は「意欲・関心・態度」の評価にかなり大きく影響します。もし提出期限を過ぎてしまったとしても、頭を下げてでも必ず提出するようにしましょう。提出しないでいるよりは、はるかにましです。

 そしてもう一つ気を付けるべきポイントがあります。それは「出しても出さなくてもどちらでも良いよ」と言われたものであっても、絶対に提出することです。この「出しても出さなくてもどちらでも良いよ」というものは、提出すると加点になるものが多いです。「成績には関係ない」と明言されない限りは、めんどうに感じても必ず提出するようにしましょう。

 「❸提出物にABといった評価がつくものは最高評価を取る」、というのは案外見落としがちなポイントです。

 提出物は絶対に出さないといけないのですが、その評価も重要です。特に「4」や「5」まで成績を上げる場合は、とても大切です。どうやったら最高評価をもらえるのかよくわからない場合は、友達やその教科の先生に聞きましょう。特に、先生に聞くのが一番おすすめです。

 「❹準備や片付けのある教科は毎回必ず準備や片付けに取り組む」、というのは体育やその他の実技教科に有効です。特に体育についてはとても効果的です。

 体育で「5」を取ろうとするなら、運動の技能が優れていないといけません。しかし、「4」なら運動が苦手でも十分ねらうことができます。

 準備片づけというのは先生がこっそり評価しているポイントなのです。運動が苦手でも、準備片づけを毎回しっかりできていれば先生が評価してくれて、「4」をもらえることが少なくありません。また逆に、運動が得意でも成績がいまひとつ伸びないというひとは、そこが足りていないことが多いです。

 「❺先生に質問やアドバイスを求めに行く」、というのはかなりハードルが高いです。「そんなこともわからないのか」とか「この前に教えたばかりだぞ」と言われるのが怖いかもしれません。ですが、実行できるのならきわめて有効です。

 先生という職業についているひとは、教えることが好きです。教わりたいという気持ちを持っている生徒を好ましく思ったり、応援したいと思うものなのです。教わりたいという気持ちを持っている生徒をそうそう無下にしたりはしません。先生と仲良くなるチャンスでもあるのです。

 一度先生に質問することができたなら、二度目以降はずっと質問しやすくなります。大切なのは最初の一歩です。ここが踏み出せたのなら、質問しやすさは大きく変わります。

 また、何を質問したらいいか分からないという場合は、❸の提出物での高評価の取り方や成績の上げ方について質問してみましょう。特に成績の上げ方については、質問の仕方に気を付けないといけませんが、大きなヒントが得られる可能性が高いです。本当に自分の進路について考えていることが先生に伝われば、先生も悪い対応をしないです。

 以上が内申点を上げるために、「意欲・関心・態度」で高評価を得るポイントです。「意欲・関心・態度」の評価を上げることは定期テストで高得点を取ることよりも簡単です。通知表を見返して「意欲・関心・態度」の項目が「A゜」や「A」になっていない教科があったなら、それが「A゜」や「A」になることをまず頑張りましょう。

 「5」を取ろうとするならならば、「意欲・関心・態度」の評価だけでは厳しいです。定期テストの点も重要になってきます。しかしそれも、「意欲・関心・態度」の評価が良ければの話です。そこが不十分なら、やはりそこの評価を上げないといけません。

 新学年がスタートしました。成績を上げるチャンスの時期です。

人間は他の人間をギャップで判断する傾向があります。学年が変わってから、今までと違ったやる気のある姿を見せたら先生はどう思うでしょうか。よっぽどの先生でなければ、「受験や将来に向かって真剣に頑張ろうとしているんだな」と思い、応援したいと思うようになるのです。

 進路のことを本気になって考え、成績を上げたいと思うなら❶から❺までの内容をぜひ実践して、「意欲・関心・態度」の評価をあげることを頑張ってみましょう!