アクティブラーニングの光と影
教育界の現在のトレンドキーワードは
アクティブラーニングのようです。
巷には「アクティブラーニング」を冠した書籍があふれ、
新聞やテレビやネットでもやたらと目にし耳にします。
私自身、全体像をまだ十分に把握しきれてはいないのですが、
現段階での考えを述べさせていただきます。
文科省によると、 アクティブラーニングとは
「課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学習・指導方法」
なのだそうです。
ものすごくざっくり言うと、
インプット中心の授業からアウトプット中心の授業になる、
ということのようです。
「アクティブ」というのは「行動的」とか「活動的」という意味ですよね?
なので、私の解釈では「アウトプット」を「アクティブ」に行うことが中心の授業、
ということになります。
これ、めっちゃレベルが高いですよ!!!
「レベルが高い」というのは、
学ぶ生徒側にとっても、教える先生側にとってもです。
指導者にも、かなりの技術が要求されます。
それはともかく、
そもそも「アウトプット」の前提は何でしょう?
もちろん、「インプット」です。
なんの知識も情報もインプットしないまま、
「アウトプット」なんて出来るわけがないのです。
なのでアクティブラーニングでは
インプットなんてさっさと終わらせる前提なのです。
しかし、現状はどうでしょう?
ほとんどの生徒さんがインプットすらままならない、
という状況ではないでしょうか?
一部の、インプットがある程度出来ている生徒さんが、
アウトプットによって、より理解を深めていく。
それは、いいことですよね?
しかし、インプットが出来ていない生徒さんは、
明らかに置いてけぼりです。
出来る子と出来ない子の学力の格差は、
今以上にどんどん開いていくことは明らかです。
まあ、文科省をはじめ国のエライ人達は、そんなことはわかりきった上で
さらにその先のビジョンを見据えているのかもしれませんが。
あと、ちょっと心配なのが、
内向的な性格の子にはむしろ学習意欲を阻害する結果になりはしないか?
ということ。
私自身、今では少しだけマシになりましたが、
小中学校の時は極度の内向型だったので、
毎回毎回クラスメートとガヤガヤ話し合う授業ばかりだと
けっこう辛かったと思います。
そう言えばグループ学習というものは昔からありました。
あれで何か学びになった覚えは正直言ってほとんどありません。
自分の意見を言うのが苦手というか、そもそも自分の意見なんてないので、
何を言ったらいいか、どうやってそつなくこの場をやり過ごすか、
ということばかりに頭がいって、学びどころではありませんでした。
それよりも、勝手に国語の教科書の
まだ習っていないところを読んで
物語の世界に浸っているほうがよほど学びになっていたと思います。
「アクティブ」ではない子には地獄になる可能性もある
ということを覚えていてほしいです。
以上、わりと影の側面を中心に述べてしまったので、
佐々木はアクティブラーニングに反対なのか?
と、思われたかもしれません。
しかし、アクティブラーニングという理念そのものに関しては
私はどちらかというと賛成です。
上記のように様々な問題点はありますが、
だからと言って「やめるべきだ」と言っているのではなく、
真のアクティブラーニング実現のために
問題点を少しずつ乗り越えていくべきだと思っています。
旧来型の、先生の説明を一方的に聞くだけの受け身の授業では、
もはや世界に通じる人材を育成することは出来ません。
なので、生徒が積極的に関われる、アウトプット型の授業の必要性は感じています。
ただ、理念は素晴らしくても、実際に行うのはかなり難しい。
特に、現状の学校システムのままでは、相当無理があると思います。
密かに、学校システム自体が変わっていくのではないか、
という期待もちょっぴりだけしているのですが…。
しかしそれは国家レベルでの改革になるので、そう急激な変化は望めないでしょう。
その点、塾は経営さえ成り立てば、好き勝手にやれます。
なので、ササキ塾でもこれからいろいろ試行錯誤していこうかと企んでいるのですが、
すでにやってきたこともあります。
実はアクティブラーニングという言葉は使っていなくても、
アクティブラーニング的な試みはちょこちょこ行ってきています。
それについては改めて別の機会に。
では、また。